
「みんなやらないと損だよ!」みたいなあおり文句で、ブログやYouTubeでもたまに見かける「iDeCo」の話をします。
「みんなやらないと!」という割に、はじめるのに時間がかかったり、NISAやつみたてNISAと制度が違うため計算も若干ややこしかったりします。
これだけ手間をかけて、本当にやる意味あるの!?
知りたいのは、このあたりだと思います。
結論から先にいうと、人によります。
損はしないけど、「iDeCoの制度をどう捉えるかはその人次第」といった感じです。
今日は、iDeCoについての解説をして、そのメリット・デメリットのお話をします。
iDeCOとは?
iDeCoの公式サイトでは、iDeCoの概要を以下のように解説しています。
iDeCo(イデコ)は、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
基本的に20歳以上60歳未満の全ての方(※)が加入でき、多くの国民の皆様に、より豊かな老後の生活を送っていただくための資産形成方法のひとつとして位置づけられています。
iDeCo公式サイト
要するに、自分で入って、運用先も自分で選ぶ私的年金制度です。
将来もらえる年金を増やしたければやる。
別にどうでもよければやらない。
それだけの話なのですが、損をしたくない人の性質をつつくメリットがいくつかあります。
ご紹介しますね。
メリットその1:控除が受けられる
会社員の税金(所得税や住民税など)は、以下の計算式で算出されます。
給与-控除=課税所得
この課税所得をベースとして、会社員の税金が決まります。
つまり、受け取る手取りが決まります。
会社員が手取りを増やすには、この課税所得を下げるしか方法はありません。
では、この課税所得をどうすれば下げることができるのか?
会社員の場合、その方法は2つです。
- 給与を下げる
- 控除を増やす
給与を下げて課税所得を減らしても元も子もないので、実質「控除を増やす」しかありません。
そこでiDeCoの登場です。
iDeCoによって拠出した掛け金は、控除の対象になります。
控除の対象となるため、iDeCoを使えば控除が増えます。
その分の税金が安くなり、もらえる手取りが増えます。
一方、事業主の場合は少し話が異なります。
事業主の税金は、以下の計算式で税金を算出します。
売上-経費-控除=課税所得
事業主の税金は、売上から経費と控除を引いた額が課税所得になります。
経費を使えるというところが、事業主と会社員の間での大きな違いになります。
この部分をどう捉えるかで、iDeCoをやる・やらないの判断基準の一つになります。
どちらにしても投資が控除になるお得な制度です。
メリットその2:運用益が非課税
通常、株などの金融商品を運用して儲けたお金には、20.315%の税金(源泉分離課税)がかかります。
iDeCoを使えば、この税金が免除されて再投資を行えます。
投資が控除になって、その運用益に税金がかからない・・・なんてお得な制度なんだ!
ここからiDeCoのデメリットを紹介します。
デメリットその1:受取時に税金がかかる
iDeCOは年金制度なので、受取時に税金がかかります。
運用益に税金がかからない。でも、受取時には税金がかかる。
中には、運用益と受取時の税金を一緒に考えている人も多く、iDeCoは非課税だからお得と思っている人いるかもしれません。
ただ、この辺りがどうしてもイメージがしづらいのがiDeCoのデメリットです。
通常、証券口座やNISA口座の場合は、利益の分の金額を自分の預金口座にお金を移しても税金はかかりません。一方、iDeCoの場合は、口座から自分の預金口座にお金を移すと年金と同様の扱いをされるため課税されます。
運用益に税金がかからなくてお、受取時に税金かかるなら何の意味もないの?
と思うかもしれませんが、そうでもありません。
iDeCoはお金を受け取る際の方法を3種類から選べ、それぞれ税金の計算方法の違いによって手元に残るお金に差が生じることがあります。
その受け取り方とは、以下の3つです。
- 年金
- 一時金
- 年金と一時金の組み合わせ
給付金を年金として分割して受け取る場合は「雑所得」として扱われ、一時金として一括して受け取る場合は「退職所得」として扱われます。
要するに、iDeCoの給付金を年金として受け取るか、退職金として受け取るかの違いです。
iDeCoが「退職金代わりになるよ」と言われる所以です。
年金なのか、退職金なのかはっきりして欲しいですが、答えは「選べます」という話でした。
なので、大企業に勤めていて退職金が会社から支給される方は、iDeCoのメリットを十分に受け取れない可能性があります。
また、専業主婦やパート・アルバイトなど収入によっても違いがあるので、iDeCOをはじめる際は受け取る時の違いを考慮することが大切です。
デメリットその2:60歳まで引き落とせない
iDeCoは年金・退職金扱いとなるため60歳までお金を引き出すことができません。
iDeCoをする上で、一番大きな縛りです。
この縛りをどう受け取るか。
会社員の場合は、控除のメリットが大きい人が多いため問題ありませんが、事業主の場合は経費が使えるためiDeCoを使う以外の節税効果が高いものがあるため、無駄にする必要はないかもしれません。
やらないと損!みたいなあおり文句にうっかり乗らないように自分で判断することが大切です。
まとめ:やる・やらないはその人による
NISAやつみたてNISAより少しややこしいiDeCoについて解説をしました。
単純に節税になるからお得!というわけでもないので、自分が置かれている状況や受け取る時の注意点などを考慮してはじめることが何より大切です。
資金と時間に余裕がある人は、大きな損を被る制度ではないので、貯金の延長線上と考えて気軽にはじめるのも選択肢の一つです。
しかし、老後資金を作るために、今の生活を苦しくしたり、楽しさを放棄してまではじめるほどではありません。
目の前にある大切な時間とお金を考えて、よりベターな選択をしてください。