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副業を始めて改めて思ったんですけど、社会保険料の負担って結構きついですよね。

そうだね。副業を始めると税金控除のメリットを感じやすい反面、会社員として支払っている社会保険料の高さにも気づいちゃうよね。
預り金とは?
預り金とは、従業員や取引先から預かったお金のことです。
預かったお金は、本人に返還するか本人の代わりに第三者に支払うものとして計上するときに使用します。
預り金とよく似た勘定科目に「仮受金」などがありますが、預り金が返還する予定の負債であるのに対し、仮受金は返還予定のない負債であるという点で異なります。
預り金の勘定科目の種類
預り金は、従業員の給与の仕訳を行う際によく登場します。
従業員の給与は、国などに納付する税金をあらかじめ給与から天引きされますが、天引きされたお金は従業員から預かったお金として第三者期間に会社が支払いを行います。
給与の預り金には、以下のような勘定科目があります。
- 所得税
- 住民税
- 社会保険料(健康保険・年金保険)
- 雇用保険料
所得税は給与を支払った翌月に税務署に納め、社会保険料は年金事務所に支払いを行います。
社会保険料の半分は会社負担が原則なので、仮に100万円治める必要があった場合の会社負担は110万円となります。
預り金を預かったときの仕訳:給与支払
例題1-1.
A社には従業員が20人います。
ひと月の従業員の給与は800万で、このうち所得税は80万円、社会保険料の従業員負担は100万円でした。A社は残額(給料)を当座預金から支払いました
(借)給料8,000,000(貸)当座預金6,200,000
(貸)所得税預り金800,000
(貸)社会保険料預り金1,000,000
例題1-2.
翌月、所得税と従業員負担の社会保険料の預り金に加え、会社負担の社会保険料110万円を当座預金から支払いました
(借)所得税預り金800,000(貸)当座預金2,900,000
(借)社会保険料預り金1,000,000
(借)法定福利費1,100,000

法定福利費は、会社負担の社会保険料の勘定科目です。
預り金がマイナスになる場合
預り金はマイナスになることもあります。
労働保険料には「概算保険料」や「確定保険料」があり、従業員負担は毎月給与から天引きされますが、実際の支払いは毎年6、7月です。
年に一度の支払いであるため、預り金がマイナスになることがあります。
これと同様に年末調整おいても税金の過不足を精算した結果、給与から天引きした預り金より本人に返すお金の方が多くなることもあります。
預り金の納付期日
給与の仕訳で発生する預り金の所得税や住民税、社会保険料は一般的に公租公課とよばれ、納付時期は厳格に定められています。
納付時期は以下の通りです。
所得税と住民税
給与を支払った翌月10日。
例えば、1月25日に支払った給与から天引きした源泉所得税と住民税は、翌2月10日までが納付期限となります。
なお、給与を常時支払う人数が10人未満の場合、税務署や各自治体に申請をすれば、年2回の納付に切り替えることもできます。
この場合の納付期限は、
所得税
1月から6月に給与天引きした分は7月10日。
7月から12月に給与天引きした分は翌年1月20日までに、半年分を合計して納付します。
住民税
6月から11月に給与天引きした分は12月10日。
12月から5月に給与天引きした分は6月10日までに、半年分を合計して納付します。
社会保険料
毎月末に前月分を納付。
例えば、1月分の社会保険料は2月末に納付します。
社会保険料には納付期限について、特に取り扱いはありません。
雇用保険料
毎月7月10日。
納付額が一定額を超える場合は、7月10日、10月31日、1月31日の年3回に分けて納付することも可能です。
さらに、自動引き落としの手続きを申請すると、約2か月間納付を先延ばしできます。
ただし、いずれの場合も期限が土日祝日に該当する場合は、後ろ倒しになります。
まとめ
従業員や取引さから預かったお金-「預り金」の仕訳について解説をしました。
預り金には、給与支払い時に算出される流動負債としての所得税や住民税、社会保険料などがあり、それらを天引きした残金を従業員に支払います。
従業員から預かったお金を税務署などに収めるには期日があり、期日を過ぎるとペナルティが課せられることもあります。
不納加算税として追加で税金を収める恐れがあるので、督促などが来る前に適切に税金の申告を行いましょう。