
こんな人におすすめ記事
- 持ち株が増資する人
- 増資する新株を狙っている人
- まだポジションを取っていない人

コロナウイルスの影響による旅行利用者の減少を受けて、日本の航空2社が相次いで公募増資をしています。今回は、公募増資をすると持ち株の価値はどうなるのか?ANA株の増資ケースを例に解説をします。

はい!わたしANA株もっているので、その話題はすごく気になります。

ANAの株を持ってるの?やばいね。

まじっすか!?
JALに次いで、ANAが公募増資で最大3,052億円調達!
2020年12月7日に、全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスが、公募による新株発効価格を1株2,286円に決定しました。
調達額は最大3,052億円で、払い期日は14日。株価は7日の終値2,357円より、さらに3%低い価格に設定されています。
調達した資金のうち、2,000億円は航空機の購入や設備投資に充て、残りは長期債務の返済に振り分けます。
ネット掲示板では、嘆く声や気付いたら株価が3,000円以上になる楽観論者、2,000以下になったら買い回すなど様々な声が溢れています。
ファイナンスの掲示板の「9202 - ANAホールディングス(株)」のスレッド。2022/09/23に作成されたANAホールディングス(株)について話し合うスレッドです。 スレッドのテーマと…
増資とは?
そもそも増資とは何かというと、基本的には企業が資本金を増加させることです。

でも、一般企業が資本金を一時的に増加させる場合は、新株発行によって投資家から資金を集めるんだ。

新株を発行して資本金を増加させると、どうなるんですか?

株式は需要と供給のバランスで、その価値が決まってくるから、市場が右肩上がりの状況で行われる増資は、株式にそれほど悪影響は与えない。けど、相場が低調な時におこわれるときの増資は、株式の需給悪化により株価がさらに下落してしまう恐れがあるんだ。

JALの増資は相場に悪影響はなかったけど、ANAなら悪影響があり得る?

ありえるかもしれない。JALのときは、コロナウイルスの第3波が本格化していなかった分、株式にそれほど悪影響はなかったけど、2020年12月にはいって感染者が増加している中で行われるANAの増資は株式に悪影響を与えるかもしれない。

うっ!?
増資の種類は3種類!
増資の手段に使われる主な手段は、公募増資、第三者割当増資、株主割当増資の3つがあります。
いずれも新株を発行して、投資家から資金を集める方法です。

今回ANAは、公募増資をするんですよね?それぞれ違いはなんですか?

それぞれの違いは、こんな感じだよ。
公募増資
公募増資は、不特定多数の投資家に向けて新株を発行する増資方法です。
メリットは、新しい株主を多く集められるため、多額の資金を効率よく集めることができます。
しかしその反面、投資家から資金を集めるために公募増資における発行価格は、市場価格より低くなることが多く、公募増資後に売り傾向となり、株価は下落しがちになります。

ANAが12月7日発表時点の終値より3%低い価格を提示したのは、新しい投資家から資金を集めやすくするためなんですね。

そう。でも、既存株主の利益損失につながる可能性が高いから、公募増資を行うのは十分配慮が必要なんだけど。。。

既存株主ショック!
第三者割当増資
第三者割当増資とは、特定の第三者に対して新規に株式を発行し、増資を行うことです。
既存株主以外に対して増資が行われるため、新株発行価額が割安である場合、既存株主の利益損失に繋がることになります。これを有利発行と呼びます。
有利発行による第三者割当増資を行うには、株主総会で決議を行い、既存株主から同意を得る必要があります。
株を発行する第三者には、親会社・取引先、ベンチャーキャピタルなど繋がりのある企業から選ぶことが多く、縁故募集などとも言われます。
資本のつながりを持つことにより、より強固な関係を作れるメリットと公募増資のように新株発行後の売り傾向を回避できるメリットがあります。

わたしは、同意しません!

第三者割当増資には、事業拡大や敵対的買収の防衛策とか色々メリットとデメリットがある。だから、一概に良し悪しは判断できないけど、手間と時間がかかるからANAはしないと思うよ。公募増資はもう1回ぐらいするかもだけど。。。
株主割当増資
既存株主が保有している持ち株の割合に応じて、新株を割り当てていく増資です。
割り当てられた新株を購入するかどうかは、株主の判断に任されています。
株主に対してのみ新株発行を行うため、他の増資とは異なり、既存株主の損失を比較的抑えることができます。

ナンピンみたいな感じですね。

ナンピンとは違うけど、だいたいそんな感じで覚えておいてOKかな。
増資が株価に与える影響
株式は、需要供給のバランスによりその価値が決まります。
基本的に増資を行うと、これまでより市場に多く株式が発行されるため、価値が薄まり株価が下落する傾向にあります。
一方、増資によって株価が上がる場合もあります。
業績拡大と回復を期待できる場合
増資することによって、今後その企業がより高い成長を期待できる場合は、投資家から好材料と受け取られ株価が上がる可能性があります。
すでに業績好調な中、さらなる拡大のための設備投資を行うために増資するケースがこれにあたります。

ANAの場合は、回復期待ですか?

ANAの場合は、回復を目的にしているけど、実質は会社が倒産しないように踏みとどまる=現状維持を目的としているから、ネガティブな増資と捉えている投資家は多いと思う。

増資目的がネガティブな場合、株価は・・・?

下がる!

がーん!
持ち株が増資したときのポジションの取り方
持ち株が増資したときの投資家のポジションの取り方について解説します。
- 損切りする
- 保有し続ける
- 下落した株を買い増す

ANAなどの旅行関連の株は、コロナウイルスによる業績悪化で業績と株価が下落しているから、ウイルス終息後の回復を見越して逆張りをする投資家も多いよね。

そういう投資家は、(2)保有し続ける(3)下落した株を買い増すを選択しているわけですね。

そうだね。一般的な個別株投資は、判断を誤った時点で損切りをした方が投資の収支を考えると得だと思う。

けど、今回のコロナショックによる経済の減退は、一時的なものと考えられるし、2021年には政府肝煎のオリンピックが開催?されるだろうから、その時にANAなど旅行関連の株価は回復するかもしれない。

わかりました。それまでANA株を持ち続けてみます。2,000円を切ったら・・・ナンピンします。

チ、チャレンジャーだな。
まとめ
増資したときの株価の価値について、ANAホールディングスの増資を例に解説をしました。
基本的には資本金を増加を意味する増資を、株式会社では新株の発行を増やすことにより資本金を増やしています。
株式の供給過多となる恐れのある新株発行による増資は、ポジティブな動機の場合は株価を上げてくれますが、ネガティブな場合では株価をさらに下落させます。
航空機の買い増しや施設の改修を行うためのANAの増資は、経営破綻を免れるための現状維持、もしくは回復を目的としているためネガティブな増資と考えられます。
株価の下落は避けられない可能性も高く、払い期日の14日にその裁定が下されます。
株価の下落が続く中で損切りをするか、来年度以降の回復を見越して保有、ナンピンするか既存株主にとっては難しい判断が迫られています。
他人の意見に惑わされず、ルールを決めて後悔しない判断をしましょう。