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- 簿記3級試験の合格を目指している
- 回収できないお金の仕訳を知りたい

副業で取引しているお客さんが報酬を払ってくれなくて困ってるんですよ。

報酬未払いのトラブルは、個人や副業の仕事で一番多いトラブルだよね。

相手が個人だと思って、ナメてるんすよ。あいつら!

でも、このまま払ってくれなそうなら、貸倒引当金とかの仕訳もキチンとしないといけないよ。

貸倒とか難しいことはよくわかりません。なので、払えるものはさっさと払ってほしい!
貸したお金が返ってこない。
ツケ代金が回収できない。
こうしたお金にまつわるトラブルは、経済活動をする上でどうしても避けられないトラブルの一つです。
簿記会計ではこうしたトラブルも想定した記帳を行います。
今回は、回収できないお金にまつわる仕訳として、決算整理仕訳で行う「貸倒引当金」について解説をします。
貸倒引当金とは?
ツケ代金などで販売したお金が回収できないことを「貸倒」といいます。
会社の決算では、こうした回収できないであろうお金を過去の経験から予測し、前もって仕訳を行います。
このときマイナスの資産として「貸倒引当金」という勘定科目を使った決算仕訳整理をします。

貸倒引当金は資産にならないんですか?

払ってくれる予定のないお金と予測して、あらかじめ「マイナスの資産」にしておくんだよ。
貸倒損失の仕訳
例題1-1.
2020年4月1日、A社に30万円の商品を掛けで販売した
(借)売掛金300,000(貸)売上300,000
例題1-2.
2020年4月30日、A社が倒産して売掛金が貸し倒れることになった
(借)貸倒損失300,000(貸)売掛金300,000

こちらの仕訳は、一般的なお金の回収をできなかったときの仕訳処理だね。

売掛金(資産)が回収できなくなったので、貸倒損失として費用に計上したんですね。
貸倒引当金の仕訳
例題2-1.
2020年3月31日の期末日が終了し、A社の初めての決算で売掛金の残高は100万円となった
このうち3%は回収できないと見積もった
(借)貸倒引当金繰入30,000(貸)貸倒引当金30,000
売掛金の残高は、期末日に決算仕訳整理として「貸倒引当金繰入」を費用計上します。
売掛金がまだ貸し倒れていないので、この段階では貸方を売掛金にできません。
そこで貸し倒れる予定の金額として、貸倒引当金(マイナスの資産)を貸方に入れる

決算時点で債権(売掛金・未収入金・貸付金など)があり、それらの債権が回収できないと予測できていれば、前もって費用計上しておくんだ。
例題2-2.
2021年3月31日の期末日が終了し決算となった
この時点での売掛金残高は300万円で、このうち10%は回収できないと見積もった
なお、このときの貸倒引当金の残高は10万円です。
(借)貸倒引当金繰入200,000(貸)貸倒引当金200,000

初年度の残高10万円と2年目の差額分20万円を計上して、合計30万円が費用(貸倒引当金繰入)となるよ。
例題2-3.
2021年3月31日の期末日が終了し決算となった
この時点での売掛金残高は300万円で、このうち10%は回収できないと見積もった
なお、このときの貸倒引当金の残高は50万円です。
(借)貸倒引当金200,000(貸)貸倒引当金繰戻200,000
先程の例題2-2では、設定したい貸倒引当金30万円に対し残高が10万円でした。
しかし、今回の残高は50万円となっており、設定額をすでに超えています。
こうした場合の仕訳では、貸倒引当金繰戻という収益の勘定科目を使います。
例題2-4.
2021年4月10日にA社が倒産した
A社に売掛金として10万円のツケがあったが回収不能となった
なおA社の売掛金は上記300万円に含まれている
(借)貸倒引当金100,000(貸)売掛金100,000

このとき、貸倒損失として費用計上はせず、すでにマイナスの資産として計上している貸倒引当金を使うよ。
まとめ
返ってこないお金を前もって予測しておく「貸倒引当金」について解説しました。
予測をする前に倒産などで回収できなくなったお金は、貸倒損失として費用計上し、期末日までのこった債券は貸倒引当金としてマイナスの資産として計上しておきます。
期中に回収できなくなった場合は、費用ではなくマイナスの資産の減少として処理をします。
細かな違いですが、よくあるお金のトラブルなので1つ1つ整理して仕訳できるようにしておきましょう。