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- 決算整理で何を仕訳するかわからない
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これから決算整理の仕訳を勉強するわけなんですけど、現金過不足とか費用の振替、当座借越?もう覚えてないんですね。そもそもこの3つはなんで決算で整理する必要あるんですか?

3つとも仕訳を整理する必要ある勘定科目だよ。今回仕訳をする勘定科目を知らない人や忘れた人の復習も兼ねて、勘定科目の説明も交えつつ仕訳の方法を解説しよう。
決算整理仕訳について
会社経営の区切りをつけるために行う決算。
株主や税務署などに提出する義務のある決算書は、三分法など詳細な仕訳を行なっていない勘定科目を整理する必要があります。
とはいえ、初心者には難しい簿記の決算整理をすべて覚えるのは大変です。
そこで今回は、決算整理の基礎として以下の3つの決算仕訳を解説します。
- 現金過不足
- 費用の振替
- マイナス残高(当座預金)

それでは3つの勘定科目を知らない人や忘れた人にもわかるように、順番に解説していきます。
現金過不足の処理
現金過不足とは、帳簿上の残高と手元の現金があわないときに使用する勘定科目です。
簿記会計のルールでは、期中の帳簿の残高と手元の金額があわないときは「手元の金額にあわせて仕訳を行う」というのが約束でした。
現金過不足の期中仕訳
例題1-1.
帳簿上の現金残高が15,000円のときに、手元の現金を確認すると12,000円だった
(借)現金過不足3,000(貸)現金3,000
まずは、手元の現金が正しい金額と判断して仕訳を行います。
現金3,000円の資産が減少し、現金過剰分3,000円が増加したと仕訳します。
その後の調査で過不足分の原因が分かった場合は、その仕訳を帳簿に記載します。
例題1−2.
電気代の支払い金額の記入を忘れていた
(借)水道光熱費3,000(貸)現金過不足3,000
しかし、その後の調査で原因がわからないまま決算を迎える場合もあります。
現金過不足の勘定は決算で終わらせるというルールがあるため、過不足分は「雑益・雑損」という勘定科目に振り替え、仕訳を完了させます。
例題1−3.
現金過不足分の調査を行なったが、原因不明のまま決算を迎えた
(借)雑損3,000(貸)現金過不足3,000

現金過不足が「期中」じゃなくて、決算時に分かった時はどうするんですか?

その場合は直接「雑益・雑損」を確定してしまうよ。
現金過不足の決算時の仕訳
例題2−1.
決算日の3月31日に手元の現金を確認すると12,000円だった
ところが、帳簿上の「現金」勘定の残高は15,000円で、この差額の原因は不明である
(借)雑損3,000(貸)現金過不足3,000
例題2−2.
決算日の3月31日に手元の現金を確認すると15,000円だった
ところが、帳簿上の「現金」勘定の残高は12,000円で、この差額の原因は不明である
(借)現金過不足3,000(貸)雑益3,000
現金過不足の決算整理仕訳
- 手元の金額を正しいものとして扱う
- 原因判明後に振り替える
- 決算時に原因が不明なものは、勘定科目を確定させる
費用で処理した勘定科目の振替処理
費用として処理をする勘定科目には、消耗品費や通信費、租税公課などがあります。
消耗品には鉛筆や消しゴムなど資産価値のないモノのことです。
その一方で、換金できる資産価値のあるものがにもあります。
切手や収入印紙などがそれにあたります。
切手や収入印紙は、それぞれ「通信費」と「租税公課」といった費用に分類される勘定科目ですが、金券ショップで現金化できる資産価値のあるモノでもあります。
そうした換金価値のある費用は、決算整理仕訳のときに費用から「貯蔵品」という資産の勘定科目に振り替えます。
費用の期中仕訳
例題1.
1枚200円の収入印紙10枚と400円の収入印紙10枚を現金で購入した
(借)租税公課6,000(貸)現金6,000
費用の決算整理仕訳
例題2.
1枚200円の収入印紙4枚と400円の収入印紙6枚が未使用で残った
(借)貯蔵品3,200(貸)租税公課3,200
費用の振替の決算整理仕訳
- 資産価値のある費用は「貯蔵品」に振り替える
マイナス残高の負債振替
令和元年から期中のマイナス残高は、決算時にまとめて行うようになりました。
そのため決算整理仕訳で、期中の当座借越の残高をまとめて確定する必要があります。
簡単に説明すると、期中の借金は仕訳しないけど、決算時に借金がいくら残っているか仕訳をして、負債を明確にしようということです。
(当座預金)マイナス残高の期中仕訳
例題1.
A社の当座預金の残高が50万円のとき、B社に買掛金100万円を当座預金から支払った。
このとき、銀行と限度額1,000万円の当座借越契約を締結しているとする。
(借)買掛金1,000,000(貸)当座預金1,000,000
当座預金の残高はこのときマイナス50万円になりますが、期中では当座預金の残高を気にする必要がないためマイナス(負債)の仕訳を行いません。
(当座預金)マイナス残高の決算整理仕訳
例題2.
決算になったが、当座預金のマイナスは50万円のままだった
(借)当座預金500,000(貸)当座借越500,000
マイナスの決算整理仕訳
- 当座預金の負債は決算時にまとめて仕訳する
- 当座預金の負債の勘定科目には「当座借越」を使う
まとめ
決算整理仕訳における現金過不足や費用の振替、マイナス残高の仕訳について解説をしました。
それぞれ期中に確定できなかった、もしくは確定しない勘定科目を決算時に仕訳して資産や負債、費用、収益に確定してしまう処理です。
こうすることで、いまの会社の財政状態を明確にすることができるため、決算時には整理が必要な勘定科目です。
試験での注意点としては、仕分け時期が期中なのか決算時の処理を問うているのか、または期中で処理を確定できるのか、できないかなどです。
問題文をよく読み、どのような仕訳を問われているのかをイメージしながら問題文に取り組みましょう。