
ウェブ制作会社などIT関連の企業から一般の事業会社への転職に悩んでいる人に向けて、事業会社に転職して10年間勤務した僕がぶつかった5つの壁について解説します。
この記事を読めば、事業会社の実態と転職するメリットとデメリットがわかります。
では、早速解説していきます。
壁その1:評価基準がない
広告代理店のウェブデザイナーから医療系の事業会社に転職した僕がはじめにぶつかった壁は、業務に対する評価基準がないことでした。
5段階で評価する自己評価シートには、専門的な医療の知識を有しているなどの項目が並んでおり、基本的には医療系事務としての評価基準が並んでいました。
実務とはほど遠い項目のみが並んでいるため、自己採点も低く、評価者の点も低いため、経営者からの評価はもらえませんでした。
評価基準の変更を10年間訴えましたが、「何をしているのかわからない」「ITは苦手」という理由だけで、ウェブ担当の評価基準の見直しや作成は行われることはありませんでした。
壁その2:IT関連の「なんでも屋」になる
異業種の人たちは、IT関連の企業に勤めている人たちを「パソコンの得意な人たち」と認識しています。
そのため、WordやExcelの操作やパソコンでのトラブルの解決窓口として、業務以外の仕事を担当することになります。それら社内のヘルプデスクの業務が増加すると、いつの間には社内のインフラ整備やサーバー管理も任され、IT関連のなんでも屋になってしまいます。
しかし、前述したとおり評価基準が設けられていないため、それら業務を精力的にこなしても評価はされないため、給料は上がらず、出世することもなく、業務担当以外の仕事が山積みされていきます。
壁その3:社内での肩身が狭い
会社の収益を上げるメインの部署でもなく、またIT関連の人材が少ない環境であるため、社内での肩身は狭くなります。一言で言うと、理解者と協力者がいない環境です。
そもそもウェブサイトの運営は委託することも可能であり、人件費比べ安価です。
それを不満に思っている社員は少なくないため、人間関係に悩む可能性の高い部署となります
壁その4:成長する機会がない
小規模な施策の繰り返しになるため、キャリアの成長は望めません。
業務の範囲は、ウェブ制作以外にもディレクションやマーケティングを行いますが、転職できるレベルに到達することはありません。
理由は、広すぎる業務範囲を全て社内で対応する必要があるため、自分ができる範囲の企画を立ち上げ、対応することになります。
壁その5:業界とのつながりがなくなる
人件費を理由に外部に業務を委託することがないため、同業者とのつながりが薄くなります。
セミナーも無料のセミナーを受けるのみであり、そこでの繋がりも仕事を依頼することがないため、関係は発展しません。
勉強や情報収集は、全て自分で行う必要があります。
事業会社に働くメリット
ここまで事業会社に転職した僕が10年間に体験した壁についてご紹介しました。
最後に、事業会社で働くメリットをご紹介します。
メリットその1:仕事が楽
制作会社のような請負業ではないため、仕事量の調整ができ、仕事は楽です。
日々の業務に追われることはなく、残業も少ないため、仕事以外の時間を持てるようになります。
メリットその2:言いくるめられる
ITリテラシーの低い事業会社では、自分の仕事は理解や評価をされず、協力的でもないため孤立しやすくなります。その反面、仕事ができない理由ややらない理由がわからないため、それらの理由を正当化できます。
プレゼン能力が高い人の場合は、うまく言いくるめることができるので、評価をされながら仕事をしないことも可能です。
僕が所属していた部署の上司は、コンサル系の会社からの転職者でした。
彼に敵う経験と知識を社内で誰も持っていなかったため、公然と批判することはできず、次期役員というポジションで悠々と仕事をしない毎日を過ごしていました。
まとめ:周囲の評価を我慢すれば、仕事は楽
事業会社に転職した際にぶつかった体験を元に、壁(デメリット)とメリットをご紹介しました。
異業種への転職は、仕事に対する考え方や知識に隔たりがあるため、大変な思いをすることがあります。しかし、コミュニケーション能力に自信がある方は、現在の仕事に追われる毎日から脱却できる良い機会にもなります。
仕事以外に生きがいを見つけたいなどの方には、事業会社への転職はおすすめです。
しかし、将来独立を目指している人にはあまりおすすめできません。
少なくともIT関連の事業会社か、大企業に就職・転職をすることをおすすめします。
理解者のいない状況はあまりに厳しく、成長する機会も望めません。
参考となれば、嬉しいです。