今回は、隠蔽力の弱い黄色(イエロー)の発色の仕方を比較検証した実験レポートになります。
結論から言うと、「白(ホワイト)やピンクを使うとキレイに色が出るよねぇ」と言う話になるんですが、「他の色はどうなの?」とか「パーツ分けされていないキットを塗るときって、どうしたらいいの?」とか、人それぞれ疑問や悩みは尽きないと思います。
塗料全色を使った色見本を作ればいいんですが、「フィルタリングやウェザリングの仕方で色は変わるし、そもそもそんなに細かく色分けしてられないし・・・」というわけで、今回はよく使うサーフェイサーごとの発色の違いを検証しました。
「白とピンクで発色の仕方が違うなぁ」とか「発色しないけど、これはこれで使えるかも」など、本塗装や試し吹きをする前の参考になればと思います。
それでは比較検証レポートの解説をします。
隠蔽力の強い白い塗料「ベースホワイト」
公式サイトはこちら色には強さ(隠蔽力)がある
比較検証レポートの前に、抑えておかなかればいけない「色の強さ(隠蔽力)」の話をさせてください。
「そんなこと知ってるよ」という人は、検証レポートにジャンプ!
色には隠蔽力という下地の色を覆い隠すチカラがあり、隠蔽力は各色ごとに強さが異なります。
プラモデルをはじめとする塗装は、重ね塗りがセオリーです。
なので、「どの順番で色を塗るのか?」というのは非常に重要なお話。
簡単に言うと、「隠蔽力の強い塗料を下地に使うと隠蔽力の弱い色は発色しないよ。色を重ねるときは弱い塗料から順番に塗り重ねましょう」となるのですが。。。
そもそも強さ(隠蔽力)の順番を知らないとどの色から塗料を重ねたらいいのかわからないので、ざっくり色の隠蔽力を弱いものから順番に並べました。
隠蔽力の順番
- 白 = 黄 < 赤 << 薄橙 < オレンジ < 青 <<< 灰 = 緑 = 茶 < 銀 < 黒
これを参考に重ね塗りをしてもらえばいいのですが、これらはあくまでも塗料の隠蔽力の強さの順番。
黄色や赤をキレイに発色させるのに必要な知識であって、「赤の上に黄色を塗ってはいけません」と言う話ではありません。隠蔽力の弱い塗料に強い塗料を意図的に重ね、その効果を楽しむと言うのは全然アリな話です。
「塗料の特性を見極めて、色の発色加減をコントロールする」というのが、この記事の主題です。
で、色の発色をコントロールするために、「代表的なサーフェイサーの上に黄色を塗装するとどうなるのか?」という実験の内容と結果が以下になります。
【比較検証】下地による発色の違い!?
今回の比較検証で利用するサーフェイサーは、白・ピンク・灰色・銀・マホガニー・黒の全部で6色。
隠蔽力の強弱を考えると先に記した順に発色すると思いますが、「発色の加減はどれくらい違うのか?」や「使えそうな効果の組み合わせはないのか?」という点について検証したいと思います。
検証に利用するのは、100均(ダイソー)で購入してきたプラスティックスプーン。
まずはこのプラスティックスプーンに、サーフェイサーを塗っていきます。
そして塗り重ねる黄色は、Mr.ホビーカラーのガンダムイエロー。
手元にある黄色がガンダムイエローだけだったので、今回はこのカラーを使って検証をします。
白(ホワイト)に重ねた検証結果
キレイに色が出ました。
予想では下地の白が透けて薄い黄色になるかもと思っていましたが、3〜4回吹き重ねるとキレイに発色します。
これより「もう少し濃い黄色にしたい」というときは、黄色を調色するか下地に黄色のカラーサフを使った方がいいかも。
今回の検証では黄色のサーフェイサーを準備できなかったので、準備できた際に改めて実験した内容を追記したいと思います。
隠蔽力の強い白い塗料「ベースホワイト」
公式サイトはこちらピンクに重ねた検証結果
黄色というよりオレンジに近い色に発色しました。
コレは黄色の隠蔽力がピンクより弱いため、下地のピンクが透けて見えている状態。
黄色とピンクが混ざってオレンジになったのではなく、そういう風に見えているだけです。
色自体はキレイに発色しているので、白にオレンジを重ねるよりメリハリがあっていいかもです。
赤色の下地に「ピンクサフ」
公式サイトはこちら灰色(グレー)に重ねた検証結果
白とピンクに比べると、急に発色しなくなりました。
エアブラシを使いはじめた頃によくやる失敗例ですね。
とりあえずグレーサフを吹いて、その上から色を重ねた結果、重厚感というより辛気臭い感じの仕上がりになるというやつ。
個人的にはコレを経験して、塗料の隠蔽力や重ね塗りなどの話に行きつきました。
個人的には失敗と思っていますが、情景モデルやジオラマで使えそうな技法ではあると思うので、色々試すのもアリかと。
使う際は、ウェザリングでリカバリーするなど何かしら手を加える必要があると思います。
サーフェイサーの定番「Mr.サーフェイサー 1000」
公式サイトはこちらマホガニーに重ねた検証結果
戦車模型の下地によく使うマホガニー。
ピンクがオレンジに近い色に発色したので、濁ったオレンジ色になるかと思いきや灰色とあまり変わらない色に。
次の銀色もそうですが、隠蔽力の強い色に弱い色を重ねると全部似たような濁り方をするんですね。CMYKだから当然と言えば当然ですが。
とは言え、グレーサフとは微妙に風合いが異なるので、使い方次第という感じ。
マホガニーはサンドカラーの戦車とかに使うにはいいような気もします。
機会があったら試してみたいところ。
戦車模型の下地に「マホガニーサーフェイサー」
公式サイトはこちら銀に重ねた検証結果
やはり灰色と変わり映えしない発色の銀。
想定では「下地の銀色が透けて、いい感じに発色するかも?」と期待していましたが、黒の次に隠蔽力の強い銀。発色はしませんでしたね。
灰色より気持ち明るいような気もしますが、これも使い所が限定される感じです。
メカ模型の下地に「エヴォシルバー」
公式サイトはこちら黒に重ねた検証結果
予想通り発色しなかった黒。
予想通りと言えば予想通りですが、思ったよりドス黒い濁り方はしませんでした。
灰色・マホガニー・銀色と変わらない濁り方。
塗り方次第で「重厚感」を演出できるかもしれませんが、色を重ねるだけでは難しそう。
ここ最近の定番サフ「エヴォブラック」
公式サイトはこちらまとめ
隠蔽力の弱い黄色の発色の仕方を検証しました。
白とピンクはキレイに発色しましたが、ピンクは黄色というよりオレンジに色に発色。
そのほかの塗料(灰色・マホガニー・銀・黒)は、濁った黄色に。
濁った黄色も使えなくはなさそうですが、状況や情景を考えた使い分けが必要な感じです。
結論としては、色は作るだけでなく重ねる順番も重要だということ。
重ねる順番も考えに入れながら塗装計画を立てるようにしましょう。