
模型の仕上がりをワンランクアップさせるための技法のひとつに「フィルタリング」があります。
フィルタリングとは、異なる色調の塗料を薄く重ねることで、単調になりがちな表面に深みを与えたり、自然な風合いを作り出したりする手法です。
この技法を活用することで、戦車や航空機、SFメカの装甲や表面にリアルな陰影や質感を加えることができます。
本記事では、フィルタリング技法の基本から応用テクニックまでを詳しく解説し、どのように活用すればよりリアルな模型表現ができるのかを紹介します。
フィルタリングの基本とその効果
フィルタリングとは、非常に薄く溶いた塗料を模型の表面に塗布し、ベースカラーに微妙な変化を与える技法です。
これにより、のっぺりとした塗装面に深みが生まれ、使用感や環境の影響を再現することができます。
例えば、単色の戦車模型に対してフィルタリングを施すと、パネルごとに異なる色合いが生まれ、長期間にわたる風化や使用による色の変化を演出できます。
また、航空機やガンプラの装甲にも適用することで、より立体感のある仕上がりになります。
フィルタリングに必要な道具と塗料
フィルタリングを行う際に必要な道具として、以下のものを準備しましょう。
- エナメル塗料やオイルペイント
薄く溶いて使用するため、発色が良く調整しやすいものを選びます。 - エナメルシンナーやオイル用溶剤
塗料を適切に希釈するために必要です。 - 筆(平筆や細筆)
薄く均一に塗るために適した筆を用意します。 - 綿棒やティッシュ
余分な塗料を拭き取るために使います。
一方、エナメル塗料は扱いやすく、初心者にもおすすめです。
フィルタリングの基本的な手順
フィルタリングを行う際の基本的な手順は以下の通りです。
- 塗料を薄く希釈する
エナメル塗料やオイルペイントをシンナーで大幅に薄めます。目安としては、水のようにサラサラと流れるくらいの濃度が理想です。 - 筆で軽く塗布する
薄く溶いた塗料を筆に取り、模型の表面に軽く乗せるように塗ります。色を均一に広げず、部分ごとに少しずつ異なるトーンを加えることで、自然な変化を演出できます。 - 余分な塗料を拭き取る
塗布後、綿棒やティッシュで軽く叩くようにして余分な塗料を取り除きます。これにより、塗料が馴染み、自然な色のグラデーションが生まれます。 - 乾燥させる
完全に乾燥するまで数時間~1日程度待ちます。オイルペイントを使用した場合は、さらに長めの乾燥時間を確保しましょう。
フィルタリングの応用テクニック
フィルタリング技法をより効果的に使うための応用テクニックを紹介します。
複数の色を重ねる
フィルタリングでは、1色だけでなく複数の色を重ねることで、より複雑でリアルな色合いを作ることができます。
例えば、戦車モデルでは、サンドイエローに対してブラウンやグリーンのフィルタリングを施すと、使い込まれた質感が増し、航空機モデルでは、グレーの機体にブルーやセピアを加えると、機体の色褪せや経年変化が表現できます。
ウェザリングとの組み合わせ
フィルタリングをチッピングやウォッシングと組み合わせることで、よりリアルなダメージ表現が可能になります。
- チッピング後のフィルタリング
チッピングで剥がれた塗装の周囲にフィルタリングを施すことで、塗装の経年劣化を再現できます。 - ウォッシング後のフィルタリング
ウォッシングで陰影を強調した後にフィルタリングを行うと、色のバランスが整い、より自然な仕上がりになります。
フィルタリングを活用した作例紹介
戦車モデルへの応用
戦車の装甲にブラウンやオリーブドラブのフィルタリングを施すことで、泥汚れや砂埃の表現が可能になります。
また、パネルごとに異なるトーンを与えることで、リアルな経年変化を演出できます。
航空機モデルへの応用
機体のパネルラインに沿って異なる色のフィルタリングを加えることで、風化した質感を再現できます。
特に排気口周りや主脚周辺には、ススや油汚れを表現するためのフィルタリングが効果的です。
ガンプラ・SFモデルへの応用
モビルスーツのアーマーに異なる色のフィルタリングを加えることで、戦闘ダメージや環境による影響を演出できます。
特にウェザリングと組み合わせることで、より説得力のある仕上がりになります。
まとめ:フィルタリングでリアルな質感を追求しよう
フィルタリングは、模型の表面に深みを与え、リアリティを向上させる重要な技法です。
基本的な手順を押さえつつ、複数の色を重ねたり、ウェザリングと組み合わせたりすることで、さらに表現の幅を広げることができます。
ぜひ、今回紹介したテクニックを活用して、自分だけのリアルな模型表現を追求してみてください!