水性塗料の重ね塗り
モデラーモデラー

水性塗料の上からラッカー塗料を塗っても大丈夫ですか?ダメという意見を聞きますが、なぜダメなんですか?

こんな疑問にお答えします。

ラッカー塗料は、下地の水性塗料の塗膜を侵すと言われています。

そのため水性塗料の上からラッカー塗料を塗ると、塗膜が溶けてシワシワになります。

これは塗料に含まれる溶剤成分が異なることから起こる現象で、曰く塗料の相性が悪いとこうなります。

とは言え、実際に見たことがないので、「それってホント?」と聞かれると、自信はありません。

経験がなければ、「試してみたらいい」と言うことで、今回の記事では以下のような実験をしてみることにしました。

塗料の重ね塗り実験

  1. 【実験1】エアブラシで水性塗料の上からラッカー塗料を普通に吹く
  2. 【実験2】エアブラシで水性塗料の上からラッカー塗料を遠目から細吹きする

実験に際し、塗料の吹き方次第で相性に関係なく塗装できるという情報(実験2のこと)をゲットしたので、それも試します。

ちなみに、「エアブラシの吹き方が難しいのでやらない方がいい」と言うことらしいので、再現ができないかもしれないので悪しからず。

それでは、実験を始めましょう。

塗料の相性と塗り重ね順について

実験を始める前に、塗料の相性について解説しておきます。

誤解させてはいけないので、基本知識(ルール)をしっかり振り返ります。

池やん池やん

要するに、「いい子は真似しないでね」ということ。

先述したように、プラモデルの塗料には相性があります。

つまり、溶剤によっては重ねてはいけない組み合わせがあるということ。

以下の3つは、プラモデルの塗装で使用する代表的な塗料の種類です。

代表的な塗料の種類

  1. ラッカー
  2. 水性
  3. エナメル

それぞれに特徴があり、モデラーは用途ごとにこれらを使い分けてプラモデルを塗装します。

最も多い組み合わせは、ラッカーで下地塗装を行い、その上からエナメル塗料で部分塗装するといった使い方です。

この組み合わせの相性は良く、下地の塗膜も侵されません。

この他にも塗料の相性をいかした組み合わせで、プラモデルを塗装することができます。

以下は、塗料ごとの相性による組み合わせ表です。

→上塗り
↓下地
ラッカー水性エナメル
ラッカー
水性×
エナメル×

上記の表を見ると、下地塗装にはラッカーが向いていることがわかります。

モデラーモデラー

水性やエナメル塗料は、どちらかというと部分塗装に向いている。

ちなみに、水性塗料を下地にした際のエナメル塗料との相性が「△」になっているのは、はみ出したエナメル塗料を拭き取ったときに水性塗料も一緒に剥がれることがあるから。エナメル塗料を拭き取るときは、塗装面を十分に乾かしてから拭き取るようにしましょう。

さて、塗料の基本的な相性を理解したところで、いよいよ実験を始めます。

【実験1】エアブラシで水性塗料の上からラッカー塗料を普通に吹く

実験は、以下の手順で行います。

  1. プラスティックのスプーンに、水性塗料の「黒」を複数回重ねて吹く。
  2. 乾燥させた後に、「青」のラッカー塗料を複数回重ねて吹く。

塗料をエアブラシで吹くときの設定は、以下の通りです。

  • 希釈率1:1
  • エア圧:0.06MPa
  • 距離:10cmほど

まずは、水性塗料の「黒」を塗り、ラッカー塗料の「青」をその上から重ね塗ります。

1回では色がのらないので、色がのるまで複数回塗り重ねていきます。

塗り重ねた後のスプーンがこちら。

水性塗料からラッカー塗料を重ね塗りしたスプーン

下地の水性塗料が、溶けて流れている様子がわかると思います。

表面のシワのような塊は、水性塗料が溶けて固まったもの。

柄の方に流れてしまっている塗料も下地の水性塗料が、ラッカーによって溶かされたものです。

これらの様子は、ラッカー塗料を吹いた瞬間から始まったため、水性塗料にラッカー塗料が重なる様子はありませんでした。

つまり、水性塗料にいくらラッカー塗料をのせようとしても、重ねた瞬間から下地の水性塗料が溶けてしまうため、水性塗料の上からラッカー塗料が塗れないことが分かります。

違いがわかるように、ラッカー塗料のみで塗り重ねたスプーンも用意しました。

ラッカー塗料を重ね塗りしたスプーン

違いは一目瞭然ですね。

ラッカー塗料のみを使用したスプーンは、キレイな塗膜を形成しています。

プラモデルの表面は、もっと複雑な形状をしているので、ラッカーのみを使用する方がいいと思います。

【実験2】エアブラシで水性塗料の上からラッカー塗料を遠目から細吹きする

続けて、エアブラシの吹き方を少し工夫した重ね塗りを試みます。

ラッカー塗料を重ねるときに下地の水性塗料の塗膜を侵さないように、遠くから細吹きにするという手法です。

こうすることで、溶けた水性塗料が流れないようにコントロールします。

手順は、実験1と同じように下地に水性塗料を吹き、今度はラッカー塗料が水性塗料を侵食しないように静かに吹きます。

今回は細吹きをするので、ラッカー塗料の希釈率を「塗料:薄め液=1:2〜3」ほど薄めて吹きます。

このときの塗料とエアブラシの設定は以下の通りです。

  • 希釈率1:2~3
  • エア圧:0.03~0.06MPa
  • 距離:20cmほど

青のラッカーを複数回細吹きで塗り重ねたスプーンがこちら。

水性塗料の上からラッカー塗料を細吹きしたスプーン

結果は、先ほどと変わらずです。

塗膜が溶けてシワになり、キレイな塗装面を作ることはできませんでした。

実験したときの感想は、先述したようにラッカー塗料が水性塗料に重なった瞬間から水性塗料が溶けるため、侵食をコントロールできません。

仮に侵食をコントロールできるとしても、細吹きをするため塗料がのりにくく時間がかかります。

塗装する時間を考えると、可能であってもオススメできない手法です。

そもそも水性塗料は、水に溶ける性質を持っています。

アクリル樹脂を使用しているラッカー塗料を塗ると、すぐさま溶けてしまうので、相性表の通り水性塗料にラッカー塗料は重ねない方がいいと思います。

実験結果:水性塗料の上からラッカー塗料を塗る重ねると、水性塗料が溶けて塗膜が流れて塗れない

今回の実験では、水性塗料の上からラッカー塗料を塗ることができませんでした。

筆者の力量にも問題があるかもしれませんが、そもそも相性が悪いと言うことがわかっているので、無理に水性塗料の上からラッカーを塗り重ねる必要はないと思います。

今回の結果を受けて、塗装するときは塗料の相性を考えた塗装計画を立てることをオススメします。

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