ハセガワ 1/72 クァドラン・ロー “ミリア機”(劇場版) レビュー

ハセガワ 1/72 クァドラン・ロー “ミリア機”(劇場版) レビュー

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』より、メルトランディ軍「ミリア・ファリーナ」が登場する女性兵士用バトルスーツ「クァドラン・ロー」。
ハセガワからリリースされたこのキットは、アニメ劇場版の造形を忠実に再現しつつ、スケールモデルとしてのディテールにもこだわった力作です。

この記事では、外観・可動・組み立てやすさ・塗装再現性などを中心に、じっくりとレビューしていきます。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

クァドラン・ロー ミリア(劇場版)

パッケージと内容物

クアドラン・ロー

箱絵は、ミリア機らしい深紅のカラーリングが印象的な迫力あるイラスト。
内容物は以下の通りです。

  • 成形色ランナー ×15枚
  • ポリキャップ ×1
  • デカールシート ×1
  • 組立説明書 ×2

ランナー構成はハセガワらしく非常に整理されており、パーツ精度も高め。
合わせ目や分割ラインも、後処理をしやすいよう計算されている印象です。

成形色は、ミリア機の赤をベースにした3トーン構成。無塗装でもある程度の完成度が出せる点は、初心者にも嬉しいポイントです。

クアドラン・ロー

クアドラン・ロー

クアドラン・ロー

外観・プロポーション

クアドラン・ロー

まず目を引くのは、重装甲かつ有機的なフォルム
ハセガワは設定画よりも劇場版アニメのシルエットに近づけており、全体のバランスが非常に良好です。

クアドラン・ロー

クアドラン・ロー

頭部・胴体・脚部のボリューム感がしっかりありつつも、関節部やスラスター周りには精密なモールドが施されています。

クアドラン・ロー

特に印象的なのが「脚部スラスターの造形」。
細かなノズルの段差表現やパネルラインが秀逸で、塗装仕上げによって情報量を大幅に引き上げられます。

バックパックの大型スラスターも迫力があり、静止状態でも“飛び出しそうな勢い”を感じさせます。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

クァドラン・ロー ミリア(劇場版)

可動と構造

クアドラン・ロー

このキットは完全固定ポーズモデルではなく、部分的に可動を意識した構造になっています。
肩関節や脚部の角度を微調整できるため、立ち姿や飛行ポーズなど、ある程度の自由度があります。
ただし、フルアクションキットのような大胆なポージングは難しく、完成後の安定性重視の設計です。

関節の保持力も十分で、重量バランスが崩れにくいのは高ポイント。
また、スタンド穴も用意されているため、別売りのディスプレイスタンドを使えば空中ポーズも楽しめます。

組み立て工程と精度

ハセガワ製ということもあり、パーツ精度は非常に高いです。
合わせ目のズレが少なく、仮組みの段階からストレスを感じません。

クアドラン・ロー

接着剤を使うのは、コックピット内部のパイロットのみ
ピンとダボの位置精度が高いため、基本的にはスムーズに組み上がります。

クアドラン・ロー

特に印象的なのは脚部スラスターと装甲の噛み合わせ。
内部構造を組み込んでから外装をかぶせる工程がしっかり設計されており、完成時に隙間が出にくい設計です。

初心者でも手順通りに組めば問題ありませんが、細部の合わせ目処理(特に腕部・胴体)は目立ちやすいため、接着・研磨を丁寧に行うと仕上がりが格段に上がります。

塗装とカラーリング

クアドラン・ロー

ミリア機といえばやはり深紅のボディカラー。
成形色も赤系で構成されていますが、実際の設定色に近づけるためには塗装仕上げを推奨します。

おすすめの塗装手順は以下の通りです。

  1. サーフェイサー(マホガニー)で下地を整える
  2. 明るめのレッド(例:ガイアノーツ ブライトレッド)を全体に吹く
  3. 影になる部分をバーガンディまたはクリアレッドでグラデーション
  4. スラスター内部やノズルを塗り分け

さらにデカール貼り後にクリアコートを施すことで、深みのある光沢が得られます。
劇場版の印象を忠実に再現するなら、半光沢仕上げがおすすめです。

塗装派にとっては、グラデーションやスミ入れによる情報量アップが楽しめるキットといえます。

デカールとマーキング

クアドラン・ロー

付属デカールはハセガワらしく高品質で、印刷のシャープさ・発色ともに良好。
劇場版仕様のマーキングがすべて揃っており、細部の注意書き(コーションマーク)も豊富です。

水転写式なので、マークソフターを併用すれば曲面にも密着します。
ミリア機特有のマーキングがしっかり再現されており、貼るだけで劇中イメージが完成するのは嬉しい点です。

総評:完成度の高い“スケールモデル的クァドラン・ロー”

クアドラン・ロー

ハセガワ 1/72 クァドラン・ロー “ミリア機”は、キャラクターモデルというよりも、リアル志向のスケールモデルに近い印象です。
派手さよりも、造形美と質感表現を重視した設計で、完成時の存在感は圧倒的

以下のようなユーザーに特におすすめです。

  • ミリア機の“劇場版フォルム”を忠実に再現したい人
  • 丁寧なディテール塗装やスミ入れを楽しみたい人
  • キャラクターモデルよりスケール寄りの仕上がりを求める人

逆に、アクションフィギュアのような可動性を求める場合はやや不向きですが、静止モデルとしての完成度は非常に高く、「飾って満足できる」キットといえるでしょう。

組み立てやすさ・造形・塗装の楽しみ、いずれも高水準にまとまった好キット。
ハセガワらしい緻密な設計思想が光る、ファン必見の一作です。

まとめ

  • 劇場版準拠のリアルなフォルム再現
  • 高精度なパーツ設計でストレスの少ない組み立て
  • ミリア機特有の深紅が映えるカラーリング
  • デカールも豊富で完成度が高い
  • 可動よりも造形重視のスケール志向キット

総じて、ハセガワの“本気のキャラクターモデル”を体感できる内容でした。
マクロスファン、特にミリア推しの方にはぜひ手に取ってほしい逸品です。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

クァドラン・ロー ミリア(劇場版)