前回は、HGUC 1/144 ケンプファーのプロポーション改修を中心に、太ももの3mm延長や肩アーマーの位置調整、スパイクのシャープ化などを行いました。
今回はその続きとして、頭部の改修、モノアイのディテールアップ、膝パーツの延長、スラスターカバーや動力パイプの改修、胸部・腰部のディテールアップ、既存モールドの彫り直しを進めていきます。
今回の最終仕上げでは「スプラッター迷彩」を予定しているため、オリジナルのスジボリを大量に追加するのではなく、ケンプファー本来のシンプルで洗練されたデザインを活かす方向で製作します。
今回行う主な改修は以下の通りです。
- 頭部のひさしを下げて目つきを調整
- Hアイズを使用したモノアイのクリアパーツ化
- モノアイ加工の失敗とリカバリー
- 頭部バルカンのディテールアップ
- 頭部アンテナのシャープ化
- 膝パーツの1mm延長
- 太ももスラスターカバーのディテールアップ
- 胸部・腰部ダクトのディテールアップ
- 胸部動力パイプの金属パーツ化
- キット全体の既存モールドの彫り直し
前回の太もも3mm延長と比べると、今回は細かな改修が中心です。
とはいえ、今回もモノアイの位置がズレるというちょっとしたトラブルが発生しました。
模型製作では、すべての加工が一度でうまくいくとは限りません。
今回も実際の作業で発生した失敗と、そのリカバリー方法を含めて紹介していきます。
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目次
HGUCケンプファーの頭部を改修する
まずは、ケンプファーの印象を大きく左右する頭部から改修していきます。
今回行う頭部の改修は、主に以下の3点です。
- アンテナのシャープ化
- モノアイのクリアパーツ化
- ひさしを下げて目つきを調整
さらに、頭部バルカンもキットのモールドを削り取り、プラ棒を使ってディテールアップします。
ケンプファーはもともと凶悪な印象のあるデザインなので、大幅に形状を変更するのではなく、元のデザインを活かしながら目つきをさらに鋭くする方向で加工します。
Hアイズでケンプファーのモノアイを改修
まずは、ケンプファーのモノアイを改修します。
HGUCケンプファーのモノアイは、付属のピンク色のホイルシールで再現する仕様です。
シールでも十分にモノアイらしさは出せますが、今回はより立体的な表現にするため、市販のHアイズ3mmを使用してクリアパーツ化します。
また、今回はモノアイの可動ギミックは作らず、位置を決めて固定することにしました。
モノアイを左右に動かせるようにすると、工作の難易度が上がるだけでなく、モノアイの位置が安定しない可能性があります。
そのため今回は、見た目と工作の確実性を優先した固定式モノアイとします。
モノアイの穴あけで位置がズレる
まず、モノアイ用スリットの中心にケガキ針でアタリを付けます。
その位置を基準にピンバイスで穴を開け、少しずつ3mmまで穴を広げていきます。
さらにモノアイ周辺の情報量を増やすため、コトブキヤの丸ノズルを埋め込み、その中央にHアイズをセットする構成にしました。
ところが、ここで問題が発生します。
モノアイの位置が、顔の中心からわずかに左へズレてしまいました。
少しくらい左にズレているほうが自然かもしれない、とも考えました。
しかし、正面から確認してみると、やはり中心からズレていることによる違和感があります。
他人には気にならない程度のズレかもしれませんが、作った本人がずっと気にし続ける可能性があります。
今回は妥協せず、モノアイ周辺を作り直すことにしました。
モノアイのスリットを作り直す
ズレた穴だけを修正する方法もありますが、今回はモノアイのスリット部分を一度すべて切り取り、作り直します。
作業手順は以下の通りです。
- ノコギリを使ってモノアイのスリット部分を慎重に切除。
- 顔の中心に外径3mmのプラパイプと2mmのプラ棒をセット。
- 固定式にするため、接着剤でモノアイの基部を固定。
- 強度を確保するため、プラパイプの内部に真鍮線を仕込む。
- プラパイプの先端を加工し、丸ノズルが収まるサイズに調整。
- 丸ノズルにHアイズをセットしてモノアイを完成。
ちなみに、プラパイプを接着せずに組み込めば、モノアイを可動式にすることもできます。
今回は最終的な仕上がりを優先して固定式としました。

一度失敗したことで余計な作業は増えましたが、最終的には顔の中心にきれいにモノアイを配置することができました。
モノアイのように顔の中心にあるパーツは、わずかな位置ズレでも意外と目立ちます。
穴あけ前に中心位置を正確に確認しておくことの重要性を、今回あらためて実感しました。
頭部のひさしを下げて目つきを鋭くする
モノアイの次は、ケンプファーの特徴である目つきの調整です。
今回は頭部のひさしを少し下げ、より鋭く、悪役感のあるフェイスを目指します。
一般的には、ひさし部分にパテを盛って延長する方法が考えられます。
しかし、HGUCケンプファーの頭部は、中央で前後に分割される構造になっています。
そこで今回は、このパーツ構成を利用してひさしの角度を変更しました。
頭部前後の合わせ目を接着剤で消す代わりにエポキシパテを挟み込み、下側は薄く、上側は厚くなるようにパテを盛ります。
これによって頭部前面のパーツ全体がわずかに前傾し、結果としてひさしが下がります。

正面から見ると、目の部分に影が入りやすくなり、元のケンプファーよりも鋭い印象になりました。
大きく形状を変えているわけではありませんが、頭部は面積が小さいぶん、わずかな角度変更でもMS全体の表情が変わります。
今回のケンプファーでは、こうした元のパーツ形状を活かした微調整を意識しています。
頭部バルカンをディテールアップ
続いて、頭部バルカンを改修します。
元キットの頭部バルカンはサイズが小さく、モールドも控えめなので、今回は一度削り取ってプラ棒に置き換えることにしました。
まずは、元の頭部バルカンをゴッドハンドのビットブレードで削り取ります。
そこへ適当な長さに切った1mmプラ棒を瞬間パテで固定します。
パテが硬化したらヤスリで形状を整え、周辺の表面処理も同時に行います。
最後にプラ棒の先端を0.5mmのドリルで開口します。

小さな加工ですが、単純なモールドから別パーツ感のある形状に変更することで、頭部バルカンの存在感を高めることができました。
アンテナをシャープ化
最後に、ジオン系MSの定番工作ともいえる頭部アンテナのシャープ化です。
HGUCケンプファーのアンテナは先端に丸みがあるため、そのままだと少し柔らかい印象があります。
そこで、パーツの裏側から少しずつ削り込み、先端にエッジを出していきます。

ケンプファーのアンテナはザクなどと比べてもデザイン性が高いため、プラ板で太くしたり、短くしてマッシブな印象を強調したりするアレンジも似合います。
今回は全体のプロポーションとのバランスを優先し、先端をシャープにするだけのシンプルな改修にしました。
現時点ではこれ以上形状を変更せず、最終的な全身バランスを確認してから必要であれば調整します。
膝パーツを1mm延長して脚を長く見せる
頭部の改修を終えたところで、いったん全身を組み直してプロポーションを確認します。
前回、太ももを3mm延長したことで脚全体が長くなりましたが、改めて全身を見ると、
「もう少しだけ脚を長く見せてもいいのでは?」
と感じました。
そこで今回は、膝パーツを1mmだけ延長します。
ケンプファーの膝パーツは特徴的な「く」の字型をしています。
延長する位置を上側にするか下側にするか悩みましたが、太ももはすでに3mm延長しています。
ここで膝の上側を延長すると、脚全体が間延びして見える可能性があります。
そこで今回は、膝パーツの下側を1mm延長することにしました。
膝パーツを1mm延長する方法
まず、膝パーツの下側をノコギリで水平に切断します。
そこへ1mm厚のプラ板を挟み込み、タミヤセメントでしっかりと接着。
接着剤が十分に硬化したら、余分なプラ板を削り、元の形状に合わせて整形します。
加工によって生じた隙間や気泡は瞬間接着パテで埋め、硬化後にヤスリで表面を整えました。

わずか1mmの延長ですが、太ももの3mm延長と組み合わせることで、脚全体のバランスを調整することができます。
こうしたプロポーション改修では、1か所だけを見て判断するのではなく、太もも・膝・脚全体を組み合わせた状態でバランスを見ることが重要だと感じます。
太ももスラスターカバーをディテールアップ
続いて、太もものスラスターカバーを改修します。
HGUCケンプファーは発売から長い年月が経っているキットですが、現在の目で見ると一部のモールドが少し甘く感じる部分があります。
前回、太ももを3mm延長した際にヤスリがけを行ったことで、スラスターカバー側面にある四角形や丸形の凹モールドも薄くなってしまいました。
そこで今回は、これらのモールドを一度整理してから、あらためてディテールを作り直します。
側面のモールドを整理
スラスターカバー側面のモールドは、パーツの裏側に接続軸があるため、単純に深く彫り直すのが難しい構造です。
そこで今回は、中途半端に彫り直すのではなく、一度モールドを削り落として平滑な面にしました。
面が広くなったことで、後ほどスジボリを追加して情報量を調整することができます。
最初からモールドを増やすのではなく、一度リセットしてから必要なディテールを追加することで、全体のバランスを取りやすくしています。
丸モールドにマイナスモールドを追加
一方、カバー前面にある丸いモールドは、3mm径の穴を開けて加工しました。
そこへ、マイナスモールドを彫り込んだプラ棒を埋め込みます。
結果として、大型のマイナスネジが打ち込まれているような無骨なディテールになりました。

非常に小さな改修ですが、平面的だったパーツに立体感が加わり、良いアクセントになっています。
胸部と腰部のディテールを改修
続いて、胸部と腰部にあるダクトのディテールを改修していきます。
今回の改修では、キットの形状を大きく変更するのではなく、既存のダクト内部の甘いモールドを整理し、プラ板や市販ディテールパーツを使って情報量を追加します。
胸部ダクトをディテールアップ
まずは、人体でいう鎖骨付近にある胸部ダクトを改修します。
ダクトそのものをすべて削り取って市販のオプションパーツに交換する方法も考えましたが、手持ちにサイズの合うパーツがありませんでした。
そこで今回は、既存のダクトを活かすことにしました。
まず、ダクト内部の甘いモールドをビットブレードとヤスリで削り取り、平滑に整えます。
その上で、WAVEのモールドプレートをダクト内部に収まるサイズにカットし、瞬間接着剤で点付けして固定しました。

既存パーツを活かしながら内部のディテールだけを置き換えることで、形状を大きく変えずに情報量を増やすことができました。
腰部ダクトをディテールアップ
続いて、腰部前後にあるダクトも同様に改修します。
股間部にあるダクトについては大きく形状を変更せず、余ったプラ板の端材を適当なサイズに切り出して中央に貼り付けました。

小さなパーツですが、中央にディテールを追加することで、単調だったダクトに少しだけ情報量を加えています。
一方、腰部後方のダクトは、胸部ダクトと同じように内部のモールドを削り取ります。
そこへ3mmと5mmのプラ板を組み合わせ、いわゆる「しいたけディテール」のような構造にして貼り付けました。

フィンやスラスターのように見える形状を自作することで、キットにはないメカニカルなディテールを追加しています。
紛失した動力パイプを金属パーツに置き換える
次は胸部から背中へ伸びる動力パイプです。
ここでまた問題が発生しました。
改修作業に入ろうとしたところ、左後ろの動力パイプのパーツが1個なくなっていることに気付きました。
どこかに保管したはずなのですが、探しても見つかりません。
部品注文という方法もありますが、今回はせっかくなので、紛失したパーツを市販の金属パイプに置き換えることにしました。
使用したのはWAVEのA.スプリング(外径3mmの金属パイプ)です。
加工は以下の手順で行いました。
- 金属パイプを現物合わせで適切な長さにカット
- 胴体側の接続基部にある突起を削り落とす
- 金属パイプが通るように接続部分を調整
- 背中側のスラスターまで自然につながる長さに調整
今回使用した金属パイプはブラックのタイプなので、今回はあえて塗装せず、金属特有の鈍い光沢を活かす予定です。
紛失したパーツのリカバリーが目的でしたが、結果的には通常のプラスチックパーツとは異なる質感を追加できました。

こういう偶然の変更も、模型製作の面白いところです。
HGUCケンプファーの既存モールドを彫り直す
最後に、キット全体の既存モールドを彫り直します。
今回のケンプファーは、新規スジボリを大量に追加するのではなく、キット本来のディテールをシャープにすることを重視しています。
胸部、腰部、脚部などを中心に、モールドのラインやケンプファー独自の丸い穴が浅くなっている部分を彫り直していきます。
スジボリ用のタガネで既存のラインをなぞり、スミ入れがきれいに入る程度まで深くします。
また、丸いモールドについてはスピンモールドを使用し、パーツを貫通させないよう注意しながら、既存の凹モールドをシャープに整えました。
ケンプファーはもともと過剰なパネルラインが少なく、シンプルでまとまりの良いデザインです。
そのため、すべての面にスジボリを追加するのではなく、既存モールドを活かしてシャープに仕上げるほうが、今回の方向性には合っています。
また、最終的にはスプラッター迷彩で塗装する予定です。
塗装によって迷彩柄が入ることを考えると、ディテールを増やしすぎず、プロポーションと塗装表現を主役にするくらいがちょうどよいと考えています。
HGUCケンプファー改修(3)のまとめ
今回は、HGUC 1/144 ケンプファーの頭部を中心に、細かなプロポーション調整とディテールアップを行いました。
今回の主な改修内容をまとめると、以下の通りです。
- アンテナをシャープ化
- ひさしを下げて目つきを調整
- Hアイズ3mmでモノアイをクリアパーツ化
- モノアイの位置ズレをスリットごと作り直して修正
- 頭部バルカンを1mmプラ棒に変更
- 膝パーツを1mm延長
- 太ももスラスターカバーのモールドを再構築
- 胸部ダクトをモールドプレートでディテールアップ
- 腰部ダクトにプラ板でディテールを追加
- 動力パイプをWAVEの金属パイプに変更
- キット全体の既存モールドを彫り直し
今回の作業では、モノアイの位置ズレや動力パイプの紛失など、予定外のトラブルもありました。
しかし、模型製作ではこうした失敗やアクシデントも含めて、完成まで持っていくことが重要です。
特にモノアイは顔の中心にあるパーツなので、わずかなズレでも完成後に目立ちます。
今回のように一度切り取って作り直すことで、最終的な完成度を優先しました。
また、胸部や腰部のダクトについても、キットの形状を活かしながら内部のディテールを追加することで、過剰にならない範囲で情報量を増やしています。
これで基本的なプロポーション改修と、ベースとなるディテールアップが一通り完了しました。
次回からは、いよいよプラ板や新規スジボリを使ったディテール追加に入っていきます。
スプラッター迷彩による塗装を前提に、どこまでディテールを追加するのか。
ケンプファーのシンプルなデザインを崩さず、オリジナルの一機として成立させることを意識しながら製作を進めていきます。
今回使用した工具・マテリアル
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