マイナスモールドを彫る手順
- 位置を決める
- パーツに垂直の切れ込みを入れる
- 切れ込みの両端に切れ込みを追加
- コの字の切れ込みを閉じる
- 斜めに彫る
- 反対側も同じように彫る
- 底を平に整える
ディテールアップの定番「マイナスモールド(凹みモールド)」。
何の凹みかはわからないけど、追加すると不思議とガンプラがカッコよくなる謎の穴。
しかし、いざマイナスモールドを彫ってみると、「底が平らにならない」「位置がズレる」なんてことも!?
初心者の頃は、とにかく失敗しがちなマイナスモールドも、工具を揃えて手順を覚えれば誰でも簡単に彫れるようになります。
今回の記事でわかること
- マイナスモールドの製作に必要な工具
- マイナスモールドの作り方
マイナスモールドが彫れるようになると、表現の幅が広くなりモデラーとしてのスキルが一つ増えます。
それでは初心者でも簡単にできる「失敗しないマイナスモールドの掘り方」について解説します。
ディテールアップの定番工作。丸モールドの彫り方について解説します。丸モールドは、工具さえ揃えれば簡単に追加できるディテールアップ方法です。丸モールドの彫り方を覚えれば、少しの手間でガンプラの精密度を高められるようになります。
モールドとは!
マイナスモールドの彫り方を説明する前に、モールドについて解説します。
プラモデル製作におけるモールドとは、パーツ表面の突起や凹み、パーツを連結する際の溝や段差のことです。
突起のモールドは「凸モールド」、凹みは「マイナスモールド」など、モールドの形状にあわせて呼び名が変わります。
代表的なモールド
- 凸モールド
- マイナスモールド
- 円モールド
- 段落ちモールド
- スジボリ
プラモデルのディテールアップには、モールドの追加や削除は必須です。モールドの特徴をよく理解して、キットの情報量をコントロールできるようになりましょう。
使用する工具
マイナスモールドは、3つの工具を使用して彫ります。
マイナスモールドを彫るために必要な工具
- マスキングテープ
- ビットブレード
- BMCタガネ
まずは、それぞれの工具の特徴を解説します。
マスキングテープ
マスキングテープは、主にプラモデルを保護するためのテープです。
模型用のマスキングテープの特徴は、剥がれやすく、ノリが残りにくいことです。作業中の汚れや傷をつけたくない部分を覆って保護するために使用します。
マスキングテームをよく使用するシーン
- ヤスリがけ
- 部分塗装
- スジボリなどのガイド
マイナスモールドを彫るときは、マスキングテープをガイドとして使用します。
ガイドテープを貼るのは面倒な作業ですが、目測でモールドを追加するとマイナスモールドの位置や角度がズレるなどの失敗につながる恐れがあります。また、マイナスモールドは肩や脚など左右対称に追加することの多いディテールアップ法です。マイナスモールを彫るときは、目測ではなく正確に位置を取ることをオススメします。
おすすめのマスキングテープ
ビットブレード
プラモデルの工具メーカー「ゴッドハンド」から発売されているビットブレードは、精密な平の彫刻刀です。刃の両面を平刀として使用でき、彫る対象に押し当てる面を変えることで角度を変えることができます。
ゴットハンドから発売されているブレードには、両刃の「スピンブレード」という商品があります。スピンブレードは薄刃の彫刻刀です。平刀としても使用可能ですが、主に刃を回転させて円モールドを追加するときなどに使用します。
マイナスモールドはプラモデルの表面に対して真っ直ぐ刃を入れる必要があるため、スピンブレードではなくビットブレードを使用してモールドを彫り進めます。
ビットブレード
BMCタガネ
スジボリ堂から発売されているBMCタガネは、プラモデルに溝などのスジを追加する道具です。
BMCタガネは、刃先にタングステンというレアメタルを使用しています。そのため、一般的な刃物で使用されるSK材の10倍の高度があり、極細の刃先でプラモデルにキレイなスジボリを追加することができます。
BMCタガネ(0.3mm)
BMCタガネは、近年の転売問題で高価で手に入りづらい工具となっています。スジボリを追加する工具として、BMCタガネは最適な工具ですが、BMCタガネ以外にもスジボリを追加できる工具はあります。
BMCタガネを持っていない、または手に入らないという方は、ファンテックから発売されている「スジ彫りカーバイト」などの手に入れやすい工具で、マイナスモールドを彫ることをオススメします。
スジ彫りカーバイト(0.3mm)
マイナスモールドを彫る手順
例として、以下パーツ写真の赤く塗りつぶした部分にマイナスモールドを追加します。
マイナスモールドを彫る工程は7つ。
7ステップでマイナスモールドを追加
- 位置を決める
- パーツに垂直の切れ込みを入れる
- 切れ込みの両端に切れ込みを追加
- コの字の切れ込みを閉じる
- 斜めに彫る
- 反対側も同じように彫る
- 底を平に整える
ステップ1.位置を決める
はじめに、マスキングテープを使ってマイナスモールドの位置を決めます。
適度なサイズにカットしたマスキングテープをパーツに貼り付けます。
マスキングテープが交差した地点を中心に、マイナスモールドを彫っていきます。
ステップ2.パーツに垂直の切れ込みを入れる
マスキングテープでガイドをつけたら、ガイドに沿ってビットブレードの刃を立て、垂直に切れ込みを入れます。
このとき刃を捻ると、ビットブレードの刃がかけてしまうので注意してください。
ビットブレードの刃は、真っ直ぐ入れて、真っ直ぐ引き抜きます。
ステップ3.切れ込みの両端に切れ込みを追加
続いて、ビットブレードの切れ込みに合わせて、0.3mmのBMCタガネの刃を立て、またしても垂直に切れ込みを入れます。
片方の切れ込みを入れたら、もう片方にもBMCタガネで切れ込みを入れます。
両端に切れ込みを入れると、コの字型に切れ込みができます。
また、BMCタガネで切れ込みを入れるときもBMCタガネの刃をひねらないように注意してください。ビットブレードと同じように、刃が欠ける恐れがあります。くれぐれも刃先は、パーツに対して垂直に入れて、垂直に引き抜いてください。
ステップ4.コの字の切れ込みを閉じる
パーツの両端に切れ込みを入れたら、ビットブレードでコの字の切れ込みを閉じ、マイナスモールドの原型となる四角の切れ込みを作ります。
ステップ5.斜めに彫る
四角の切れ込みが完成したら、いよいよマイナスモールドを彫っていきます。
まず、四角の切れ込みに対し、ビットブレードの刃を斜めに入れます。パーツには垂直に切れ込みが入っているため、ビットブレードの刃は自然と止まります。
このような形で刃を入れます。
ステップ6.反対側も同じように彫る
カツっという感覚があるまで彫り、同じように反対側からも掘り込みを入れます。
こちらも事前に刃を入れているので、ビットブレードの刃が自然に止まるまで刃を入れます。
これで底が平らになっていないマイナスモールドが出来上がります。
ステップ7.底を平に整える
最後に、BMCタガネでマイナスモールドの底面を平らに整えます。
底を平らに整えるときは、マイナスモールドの形を整形する際と同じ幅のタガネを使うことで、同じ幅のマイナスモールドを彫ることができます。
底をならしたら、ブレードの刃を押し込んだときにできるパーツのめくれを紙やすりで整えます。
これでマイナスモールドの完成です!
初めのころは、位置がずれたり、切り口がガタガタになったりすることもありますが、慣れると失敗せずにキレイに彫れるようになります。
まずは、不要なパーツやプラ板で練習してください。
まとめ
今回は、失敗しないマイナスモールドの彫り方について解説しました。
マイナスモールドは、初心者が失敗しやすいディテールアップ術の一つです。
しかし、工具を揃えて手順を守れば、誰でも簡単にマイナスモールドをプラモデルに追加できるようになります。
マイナスモールドを追加する手順は、7つ。
7ステップでマイナスモールドを追加
- 位置を決める
- パーツに垂直の切れ込みを入れる
- 切れ込みの両端に切れ込みを追加
- コの字の切れ込みを閉じる
- 斜めに彫る
- 反対側も同じように彫る
- 底を平に整える
諦めずにチャレンジを続ければ、必ずできるようになります。頑張ってください。