
こんな人におすすめ記事
- 経済用語を知りたい
- ニュースや新聞でよく聞く「量的緩和」について知りたい
- 量的緩和をするとどうなるか知りたい

アメリカの中央銀行のFRBが、「量的緩和の長期維持を発表した」っていう知り合いの投資家が騒いでいたんですけど、これって何ですか?

その人が米国株投資をしているなら、金融バブルが来るかもって思っているのかもしれないね。

量的緩和をするとなんで金融バブルが来るんですか?

実態のないお金が株価を引き上げるからだけど、きちんと説明するね。
金融緩和政策とは?
量的緩和を説明する前に、普通の金融緩和政策について触れておきます。
金融緩和政策とは、日本銀行(以下、日銀)などの中央銀行が通貨や金融の調節を行うことで、国に出回るお金を量を調節することで、景気と物価を安定させることです。
また、一般の金融緩和政策では、政策金利を動かして金利を引き締めたり、利下げして緩和したりします。
なぜ金利を下げると緩和するのかというと、借金のコストが下がるからです。
銀行からの借金のコスト(借入金など)トは、日銀の金利に連動しています。
日銀が利下げをすると銀行から借りるお金が安くなり、企業が設備投資をしたり、個人で住宅を購入をしたりするなど、経済を後押しすることができます。
しかし、長年の不況で日本経済は利下げをしても効かない状態が続いていたため、政策金利はゼロではなく、マイナス金利になっていました。
政策金利が効かなくなった奥の手として緩和する政策として取られたのが、「量的緩和政策」です。

日本ではアベノミクスの第一の矢として、大胆な金融政策(デフレ(お金が少ない)対策としての量的金融緩和政策)がとられたよ。
量的緩和(量的金融緩和政策)とは?
量的緩和とは、中央銀行が一般の市中銀行から大量の国債を買い取ることです。
中央銀行が資金量を操作して大量の資金を市場に供給することにより、景気や物価を下支えしないといけないときの経済危機を回避します。
つまり量的緩和とは、一般に行われる金融緩和を「量的」に行う政策のことです。
コロナショックによる経済危機を回避するため、世界中の国で日本のような量的緩和政策が行われました。

市場に資金を供給するのに、なんで銀行の国債を買いとるんでるか?もっとお金をみんなに配ったらいいじゃないですか?

みんなにお金を配らないのは、市場経済を回すためだよ。
量的緩和の仕組み
量的緩和の仕組みを知るために、中央銀行が供給するお金の流れを確認します。
量的緩和による資金の流れ
- 中央銀行が市中銀行から国債を買い取る
- 買い取った分のお金が市中銀行に流通する
- 市中銀行が企業などにお金を貸し出す
- 企業が、設備投資などをしてビジネスを拡大する
- 企業の雇用や給与が増える

あの〜わたしの給料増えてないんですけど。。。

実はそこが量的緩和の一番の問題点なんだよ。
量的緩和の問題点
量的緩和の問題点は、中央銀行がいくら国債を銀行から買い取っても一般人までにお金が行き渡らないことです。
量的緩和による資金は、以下のように流れると想定されています。
(1)中央銀行→(2)市中銀行→(3)企業→(4)従業員(一般人)
しかし実際には、市中銀行にお金が増えても企業に貸し出すお金の量は増えず、そこでストップしています。

銀行がお金をネコババしてるってことですか!

お金を貸し出さずに、株や為替などの金融資産に回しているんだよ。
また、市中銀行が金融資産を大量に購入するため、マーケットには実態経済のないお金が株価を上げてしまうため、金融バブルが発生するリスクが高くなります。
量的緩和のリスク
市場に流れるお金の量が少なくなると「デフレ」になり、お金の量が増えすぎると「インフレ」になります。
お金の量が少なすぎるデフレでは、お金を使えない状態になるため、消費が落ち込み景気が悪くなります。
また、お金の量が余るほど出回りすぎるインフレでは、みんながお金を持っているため物価が上がって物の値段があがります。
量的緩和制政策では、市場に大量のお金を流通させたインフレのさらに先の「ハイパーインフレ」になる可能性があります。
ハイパーインフレになると、パンを一つ買うのに数万円かかるみたいな世界になります。

教科書で見たことあるヤバい世界ですね。
まとめ
いま世界の中央銀行がおこなっている量的緩和について、説明をしました。
アベノミクスの頃から量的金融緩和を行っている日本では、これ以上の金融緩和政策を行うことが難しく、一方株式市場では実体経済のない金融バブルを迎える可能性も秘めています。
量的緩和を知ることで、為替市場への影響を知ることができます。
これから迎える世界を想定して、日々市場の動きを見逃さないよういチェックしていきましょう。