【社会保険料とは?】個人事業主と会社員の違いについて

わかっているようでわかっていない「社会保険の基本」についてお話しします。

個人で事業を始めると何かと絡んでくるのが、この「社会保険」です。

フリーランスを始めたばかり人は、

「やったー!給料が上がったー!」

「毎日会社に行かなくていいし、嫌な上司からも開放されて、給料も上がる♪」

「フリーランス、最高ー!」

「あれっ!?でも、税金ヤバイぐらい引かれてへん?」

・・・こんな話をよく耳にします。

しかも社会保険は前年の所得に対する課税なので、フリーランスになってすぐの社会保険料は会社員時代の給料に対する支払いです。

なので、フリーランスになって所得が増えると、翌年の税金はさらに増えます。

これだけを聞くと、

「フリーランス恐え〜」

「社畜万歳!」

となってしまいます。

正確には、社会保険料は上がるけれど、結局はフリーランスの方がお得になることはいっぱいあります。

お金持ちになるには、不必要に怖がらず、自分にあった働き方を選択できるように、正しい知識を身に付けることが大切です。

それでは「社会保険の基本」について解説していきます。

社会保険とは?

公的な負担で病気や老後などのリスクに備える社会保障のことです。

その保証の範囲は、

  • 病気
  • 怪我
  • 加齢
  • 介護
  • 失業
  • 労働災害

と事前に限られており、大きく3つのカテゴリにわかれます。

  1. 医療保険
  2. 年金保険
  3. 労働保険

これに「介護保険」を加えた計4つが社会保険です。

介護保険は、その対象者が限られるためここでは割愛します。

各保険は、さらに小さなカテゴリに分割されます。

  1. 医療保険:国民健康保険・健康保険
  2. 年金保険:国民年金・厚生年金
  3. 労働保険:雇用保険・労災保険

以上が、事業主や会社員に関係する社会保険です。

それぞれの保険の違い

立場の違いによるそれぞれの保険の役割について解説します。

医療保険

医療保険は、「国民健康保険」と「健康保険」の2種類あります。

名前が非常に似ているため間違いそうですが、個人事業主と会社員はこのどちらか一方に必ず加入する必要があり、保険料率が異なるなど大きな違いがあります。

主な用途は、病院に行った際の医療費の3割負担に軽減や高額療養制度の利用、出産育児一時期などです。

医療費は3割負担はそのままの意味ですが、高額療養制度は月間の病院代がざっくり上限10万円で済む医療制度です。100万円の手術を受けた場合でも10万円の支払いで済みます。

国民健康保険

個人事業主は、「国民健康保険」に加入します。

加入する際は、自ら各市町村に手続きを行う必要があります。

保険料率は、前年度の所得から毎年変わるため、ざっくり5万〜77万円となっています。

また、住んでいる市町村によっても納める額は変わってくるので、こちらも自分で確認する必要があります。

健康保険

会社員は、「健康保険」に加入します。

会社を通じて加入するため、自分で手続きをする必要はありません。

ただし、その保険料率は個人事業主のように前年度の所得からではなく、4・5・6月の給与の平均から算出されます。

なので、

「この期間の残業を減らせば、健康保険料が少なくできるかも!」

と思いがちですが、普通に残業した方がお得なので気にする必要はありません。

なお、健康保険の支払いは医療費の差を反映して各都道府県ごとに違いがあります。

全国平均では10%とされ、会社員が支払う健康保険料はそのうちの5%となっています。

残り半分は、会社が負担してくれます。

年金保険

年金保険は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。

個人事業主は国民年金に加入し、会社員はこの両方に加入します。

主な用途は、65歳から受け取れる「老齢献金」と「障害基礎年金」、そして「遺族基礎年金」の3つです。

老齢献金は、老後にもらえる一般的な年金です。

障害基礎年金は、病気や怪我で障害が残った際に支払われる年金です。

遺族基礎年金は、加入者が死亡した際に受け取れる遺族年金です。

国民年金

日本国民なら誰しもが加入する必要のある国民年金です。

個人事業主であれば、この国民年金に加入します。

基礎年金とも言われ、支払う額は月額16,400円と一律です。

納付期間は最低10年で、納付期間により受け取る金額に差が生まれます。

会社員から独立して個人事業主になったとしても、会社員時に国民年金に加入しているので、その継続期間は引き継がれます。

厚生年金

会社員が国民年金に上乗せして加入する年金保険です。

国民年金と違い、支払う額は4・5・6月の給料によって決まるためそれぞれ異なります。

保険料率は約18%で、健康保険と同じく半分を給与から天引きされ、残りの半分を会社が負担してくれます。

収入が多いほど受給額が多くなるため、男性の平均受給月額は約16万5,000円、女性は約10万3,000円といわれています。

労働保険

労働保険は、「雇用保険」と「労災保険」の2種類あります。

ちなみに労働保険は、会社員のみ加入できる社会保険です。

雇用保険

失業した労働者の生活や雇用の安定を図るために支援を行うための制度です。

失業給付金や育児休養給付金などがあります。

労災保険

仕事中や通勤途中に起きた出来事に起因したケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に保険給付を行う制度です。

まとめ

フリーランスを始めるとその支払額の高さに驚く社会保険料ですが、実際は加入している保険は会社員より少なく、会社負担もなくなっているため高く感じるだけです。

節税対策などをしっかり行えば、社会保険をコントロールできる立場にあるので、会社員よりお得なこともあります。

一方、会社員の場合は節税対策を行えない反面、健康保険や厚生年金などを会社負担してもらっているおかげで、安心して労働に励むことができる立場にいます。

それぞれの立場を理解した上で、自分にあった働き方を考えることが大切です。