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- 小切手との違いを知りたい
- 電子取引についても知りたい

このあいだ銀行に手形を持って行ったんですけど、小切手と違ってお金をすぐもらえるわけじゃないんですね。

似たような紙に金額と日付を書くところまでは同じだけど、処理の仕方は違うね。すぐに現金として欲しいときは、小切手より現金でもらったほうがいいよ。

そこまで困ってないから大丈夫なんですけど。。。ちなみに手形の会計処理も小切手と違うんですか?

こっちも似たようなものだけど、違うよ。しかも最近は電子手形みたいなものも認められるようになったらか、覚える処理の数は増えているよ。

簿記の世界もどんどん電子化されますねぇ。

現物の手形より保管と処理も簡単だからね。これを機会に一緒に覚えるといいよ。
手形取引とは?
手形取引とは、手形に記入した金額を一定の期日までに支払うことを約束した証書です。
支払うことを約束した証書であるため、支払手形の勘定科目は「負債(義務)」となり、受取手形の勘定科目は「資産(権利)」となります。
手形取引は、売掛金や買掛金よりも支払い期日を3〜4ヶ月ほど伸ばすことができるため、手元にお金が少ない場合や支払期日まで余裕を持ってお金を準備したいときに使うなどの特徴があります。
手形取引には、おおきく2つの手形があります。
- 約束手形
- 為替手形
約束手形
約束手形は、掛け取引で購入した商品代金を期日までに支払うことを約束した証書です。
為替手形
約束手形と同じように期日までにお金を支払うことを約束した証書ですが、振出人と受取人の他に支払いを引き受けた(支払人)が存在します。
つまり、約束手形がAさんとBさんとの間で行われる2者間の取引なのに対し、為替手形はAさんとBさんの他にCさんも存在し、3者間で取引を行います。
為替手形はあまり一般的に取引を行うことがないため、簿記3級の出題範囲からは除外されています。2020年12月現在では、1級の試験になっています。

この記事では、約束手形の記事に関する解説を見ていきます。
約束手形をもらったらどうする?
約束手形は小切手と同様に銀行へ持っていき、取立て依頼を出すと処理を行ってもらえます。
ちなみに、手形を受け取る人(債権者)のことを「名宛人」と呼びます。
約束手形と小切手の違い
約束手形は先にも記した通り「約束した期日」にお金を受け取れる証書であるの対し、小切手は銀行に持っていった日に現金化してもらうことができます。
小切手が振出人の当座預金から、すぐに自分の預金口座に資金を移せるのに対し、約束手形は資金移動に期日が設けられており、時間がかかります。
このほか約束手形には、収入印紙を貼り付けないといけないど、小切手と細かい違いがあります。
約束手形の仕訳
例題1:A社(債務者側)の仕訳
例題1−1.
4月1日にA社は100万円の商品をB社から購入し、代金については約束手形を振り出した
このときの約束手形の期限を7月31日とする
(借)仕入1,000,000(貸)支払手形1,000,000
例題1−2.
4月3日にB社は銀行へ約束手形を持参し、取立て依頼を申請
7月31日に手形が無事決済された
(借)支払手形1,000,000(貸)当座預金1,000,000

支払手形の勘定科目は「負債」だから、はじめは貸方に記入し、支払いは当座預金から差し引かれるので、決済時の勘定科目を「当座預金」とするよ。
例題2:B社(債権者側)の仕訳
例題2−1.
4月1日にB社は100万円の商品をA社に販売し、代金として約束手形を受け取った
このときの約束手形の期限を7月31日とする
(借)受取手形1,000,000(貸)売上1,000,000
例題2−2.
4月3日にB社は銀行へ約束手形を持参し、取立て依頼を申請
7月31日に手形が無事決済された
(借)当座預金1,000,000(貸)受取手形1,000,000

受取手形の勘定科目は「資産」になり、資産の増加として初めは借方(左)に記入し、決済時に振り込まれる口座に移す処理をするんですね。
電子記録債権と債務の取引について
売掛金や買掛金を電子的に取引を行うことを「電子記録債権」「電子記録債務」といいます。
掛けでの取引を電子化することで、経理業務の効率化をはかり、資金調達の手段を多様化できるなどのメリットがあります。
例題1:A社(債務者側)の仕訳
例題1−1.
4月1日にA社は100万円の商品をB社から購入し、代金については掛けとした
(借)仕入1,000,000(貸)買掛金1,000,000
例題1−2.
4月30日、A社はB社に対する買掛金について、電子債権記録機関に債務発生記録をおこなった
(借)買掛金1,000,000(貸)電子記録債務1,000,000
例題1−3.
6月30日、電子記録債務の支払いを当座預金から支払った
(借)電子債務1,000,000(貸)当座預金1,000,000
例題2:B社(債権者側)の仕訳
例題2−1.
4月1日にB社は100万円の商品をA社から販売し、代金については掛けとした
(借)売掛金1,000,000(貸)売上1,000,000
例題2−2.
4月30日、A社はB社に対する買掛金について、電子債権記録機関に債務発生記録をおこなった
(借)電子記録債権1,000,000(貸)売掛金1,000,000
例題2−3.
6月30日、電子記録債権の支払いが当座預金に支払われた
(借)当座預金1,000,000(貸)電子記録債権1,000,000

電子的に取引すると言っても、経理上の処理は意外と簡単なんですね。

仕組みを取り入れるにはハードルがあるかもしれないけど、会計処理だけを見れば業務の効率化に繋がっていいかもね。
まとめ
会計簿記での約束手形について解説をしました。
手形取引は、簿記の基本である支払いに関する取引の一つで、掛けや小切手とも少しだけ違いのある取引です。
小切手と比べると、期日があるため処理をする際の勘定科目に注意が必要で、債務と債権の違いを正しく理解し、仕訳する必要があります。
そのためにはお金の流れを理解して、処理に慣れていきましょう。