

広告業界の第一線で活躍するジェームス W.ヤングさんが書いた「アイデアの作り方」を独自の解釈でサラッと解説します。
こんな人におすすめ
- アイデアが降りてこない人
- 企画力を身につけたい人
- アイデアの作り方を知りたい人
本書はこんな感じの内容です。
- アイデアは今ある要素の組み合わせでしかない
- 異なる要素を組み合わせる
- たくさんのモノを見たり聞いたりする
- 見たモノ・聞いたモノを組み合わせる
- 時間を空ける
- もう一度考えて、ひらめきを待つ
- ひらめいたアイデアの使い方を考える

アイデアかぁ。凡人のわたしはセンスがないから、何も閃かないなぁ。

大丈夫だ。アイデアを作るのに才能はいらない。
多くの人が勘違いをしていますが、素晴らしいアイデアをひらめくのに才能は必要はありません。
アイデアがある日とつぜん天から降りてくるモノでもなければ、ボーっとしていたら生まれてくるものでもないからです。
本書を書いたジェームズ W.ヤングさんはアイデアの作り方を「自動車の製造と同じ流れ作業」と言っています。
では、解説を始めます。
アイデアは今ある要素の組み合わせでしかない

1つ目のポイントは、「アイデアは今ある要素の組み合わせでしかない」です。
新しいアイデアを考える際、ボクたちはこれまで誰も思いついたことのない画期的なサービスやだれも味わったことのない新商品を作ろうと考えがちですが、それは間違いです。
画期的だと思われる新サービスも季節ごとに新発売されるコンビニ限定のお菓子やアイスも、すべて過去にあった色々な要素の組み合わせでしかありません。

この世にあるサービスや商品は、すべてパクリだ。

いや、言い過ぎでしょ!?
他社のサービスや商品を参考にせず、「自分の中だけで浮かんできたアイデアで勝負したい!」なんていう人は、モノを作ったことの人か、アイデアを一度も出したり、形にしたことのない人のセリフです。
芸術家のピカソは、「偉大な芸術家は盗む」と言っているし、同じ画家のダリも「何も真似したくないと言っている人間は何も作れない」と言っています。
つまり、「他人のアイデアを盗むこと=悪いこと」と考えている人には、何も作ることができないということです。

アイデアは積極的に盗んで、その改良版を作ることだ。
そもそも誰にも真似されないアイデアは流行らないし、社会に必要ありません。
何も見ず、誰にも聞かず、何も体験しないままただ机の前でボーっとしていてもアイデアは生まれません。
ボクたちがアイデアを生むためには、いろいろな風景や絵画を見たり、美味しいモノをいっぱい食べたりしないといい絵は描けないし、美味しい料理やお菓子も作れません。
異なる要素を組み合わせる

2つ目のポイントは、「異なる要素を組み合わせる」です。
「パクリ上等」とは言え、何もアイデアが浮かばない人も多いと思います。
いざ、何かを考えようとすると何も思いつかないのは、アイデアを出す技術を知らないからです。

アイデアって技術で出せるの?才能じゃなくて?

アイデアは誰でも出せる。簡単ではないだけだ。
新しいアイデアには、まったく関係のない2つの要素を掛け合わせることで生まれるというパターンがあります。
たとえば、パソコンと電話を掛け合わせてスマートフォンができたり、パソコンと時計を組み合わせてスマートウォッチができたりするようなものです。
これらはこれまでまったく異なる要素として存在していましたが、組み合わせることによりボクたちの生活を一変する素晴らしい商品となりました。
こんな風にアイデアは何もない1から自分ひとりの力で生み出すモノではなく、まったく関係のなさそうな2つの要素を組み合わせる必要があります。
以下に、そのための手順を紹介します。
たくさんのモノを見たり聞いたりする

アイデアを作るための1つ目のポイントは、「たくさんのモノを見たり聞いたりする」です。
ボクたちがアイデアという「金の卵」を産む鶏だと仮定して、「金の卵」を生むためにはいろいろな餌が必要です。
餌とは、過去のいろいろな要素や出来事、体験です。
そのため金の卵を産むためには、世の中にいまあるモノで興味の惹かれることについて深く勉強したり、知る必要があります。

好奇心の赴くまま、たくさん聞いて、見て、そして感じろ。
新しいお菓子を作りたければ、いろいろなお菓子を食べて感動するべきだし、面白い映画や漫画を作りたければたくさんの作品を見て涙を流すべきです。
そうした琴線に触れる体験をたくさんすることで、ボクたちが生むアイデアは何の変哲もない白い卵から価値のある金色に次第に染まっていきます。
見たモノ・聞いたモノを組み合わせる

アイデアを作るための2つ目のポイントは、「見たモノ・聞いたモノを組み合わせる」です。
琴線に触れたたくさんの経験をしたら、その中から組み合わせるべき要素を探します。
お菓子であれば、インスタ映えする盛り付けや見た目、味などをメモや写真に残し、新しい組み合わせを探します。
面白い漫画を描きたければ、その作品のなにが面白かったのか?どこに感動したのか?似たような異世界ものでも何が違うのか?など作品を分析することです。
ここで何かしらアイデアの原点が出ます。
卵であれば、卵の殻がうすいピンク色になった感じです。

おお、ちょっと価値が出てきた感じがするね。
時間を空ける

アイデアを作るための3つ目のポイントは、「時間を空ける」です。
卵の殻がピンク色になったからといって、白い卵より価値があるかと言われるとそうでもありません。
殻は赤く、黄卵にすることで価値は上がるし、金色になるともはや卵とは違った価値になります。
産む卵を金にするには、組み合わせたアイデアを一旦忘れる必要がある。

せっかくのアイデアを忘れちゃうの?

単なる思いつきが、スグに誰もが認めるアイデアになることはない。
思いついたアイデアをスグに企画して、上司に持って行ったとしても企画の穴を指摘されるだけです。
そのため、思いついたアイデアはいちど完全に放置して、すべて心の外に放り出してリラックスしよう。
アイデアがボーっとしているときに「天から降ってくるモノ」と勘違いしているのは、アイデアを放置しているときに何かしらのタイミングで、問題を解決するアイデアをひらめくからです。
アイデアをひらめきやすいタイミングは、お風呂でシャワーを浴びているときやコーヒーを飲んでいるときなど、とにかくあなたがリラックスしているときです。
アイデアは考えるのをやめたときに、問題を解決する良いアイデアが出てきます。
アイデアを生み出すためにいろいろな体験をして調べ尽くした後は、リラックスした時間を取り、問題を解決するアイデアが降りてくるのを待ちましょう。
毎日深夜まで働き続けている疲れた脳みそで、新しいアイデアは生まれません。
アイデアは、リックスしたときにできる脳の余白から生まれるということを覚えておこう。
もう一度考えて、ひらめきを待つ

アイデアを作るための4つ目のポイントは、「もう一度考えて、ひらめきを待つ」です。
問題を解決する糸口がつかめたなら、もう一度そのアイデアに向き合おう。
アイデアから離れて時間を経過したことで、見え方や感じ方の変化により以前のアイデアが地味に見えたり、もっと良いアイデアが浮かんできたり、他のアイデアとの組み合わせが見えたりします。
こんな風にもう一度そのアイデアについて考えることで、アイデアに幅が生まれ、奥行きが出てきます。
このとき多くのアイデアがサービスや商品として、明確な形となって現れます。
鶏の卵が、ついに金の卵になる瞬間です。

おお、やっと金の卵が生まれるのか。感慨深いね〜。

・・・
ひらめいたアイデアの使い方を考える

アイデアを作るための5つ目のポイントは、「ひらめいたアイデアの使い方を考える」です。

って、金の卵が生まれたのに、まだ考えることがあるの!?

あるぞ。
いくらパソコンと電話を組み合わせた画期的な商品を思いついたとしても、重さが1キロあって、通話30分のために充電が10時間もかかるような携帯もできない携帯電話では、正直役には立ちません。
スマートフォンはジャケットの内ポケットに入れられて、1日数時間通話でき、片手でゲームが操作ができるようなスマートなガジェットになって、はじめて多くの人の役に立ちます。
大切なことは、生まれたアイデアをそのまま配信するのではなく、どのようにして人や社会の役に立つようになるかを考えることです。
こうした5つのステップを駆け上がることで、ボクたちは素晴らしいアイデア=金の卵を産むことができます。
この世にあるサービスや技術、漫画やゲームなどは、すべてのこの考え方で生まれており、金の卵をみんなで使いやすいようにお金などに加工したものです。
まとめ
- アイデアはまったく関係のない2つの要素の新しい組み合わせ
- アイデアを生み出すためには、たくさんのモノを見たり、聞いたりする必要がある
- 問題を解決するのは、「時間」と「余白(リラックス)」
- ひらめいたアイデアをもう一度深掘りする
- 多くの人に愛されるようにアイデアの使い方を考える