経費になるもの・ならないもの

会社員が副業を始めるメリットの一つとして、副業用に購入した物品、オフィスとして使用している自宅の家賃や光熱費、通信費の一部を経費として計上できるというものがあります。

これら経費を所得から差し引けば、その額に応じて所得税や住民税を節税できるため、普通に会社員をしているだけの人より節税の幅が広がります。。

しかし、副業で使用するからといって、不要なものを購入したり、何でもかんでも経費として計上しようとしたりする人がいます。

節税のために不要なものを購入するのは、お金を稼ぐ・貯める上では本末転倒な行動で、何でもかんでも経費として計上するのは、そもそもルール違反となり後々多めの税金を支払う結果となる恐れもあります。

ここでは副業を始めるならマストで知っておきたい「副業の経費」のポイントをしっかり抑えて解説し、みなさんが正しく適切な範囲で節税対策ができるようにします。

会社員の副業で、経費が認められる所得は3種類!

所得の種類は、所得税法で10個に分けられています。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

会社員の給与は「給与所得」となり、支給される給与から所得税が天引きされます。

一方、会社員が副業を行った際に認められる所得は、事業所得・不動産所得・雑所得の3つです。

これら所得の中から収入を得るために必要となった出費を差し引くことを「経費」といいます。

そして、確定申告を行う際に、所得から経費を差し引くことで所得税が節税できるようになり、副業で稼いだお金を守ることができるようになります。

経費になるもの

具体的に経費なるものを以下にまとめました。

  • 仕入れた商品の購入費
  • 消耗品費
  • 家賃、水道光熱費
  • 旅行・交通費
  • 通信費
  • 広告宣伝費

仕入れた商品の購入費

商品を販売して収入を得る場合は、その商品の購入やそれに関する費用を経費として計上できます。

商品の購入費用をはじめ、商品を管理するための倉庫賃料、商品の発送や梱包に使う消耗品費も経費に該当します。

消耗品費

仕事に関する道具は、消耗品費に該当します。

例えば、文房具、パソコン、プリンターやカメラ、仕事机、椅子などが当てはまります。

なお、パソコンをプライベートでも使用している場合は経費に含まれません。

1台を副業用、もう1台をプライベート用にすることで、1台分を10万円未満まで経費にすることができます。

10万円以上のパソコンを購入した場合は、白色申告をしている人と青色申告をしている人でその認識は変わります。

白色申告であれば、20万円未満であれば、購入したパソコンを「一括償却資産」として処理できます。

一方、青色申告の場合は、「少額減価償却資産の特例」を利用して30万円未満までその年の経費として全額経費にすることが可能です。

ルールが複雑なので、とりあえず一度に落とせる経費の金額は、所得が雑所得であれば10万円未満まで。事業所得であれば30万円未満までと覚えておいて大丈夫です。

家賃、水道光熱費

副業をするために借りたオフィスや水道代、光熱費も経費として落とせます。

また、自宅をオフィスとして使用する場合も「家事関連費」として経費に計上できます。

その場合、副業で使用している部屋の使用面積を算出します。

この算出を「家事按分」といい、後で詳しく解説します。

旅行・交通費

副業で行う移動に関する交通費も経費となります。

交通機関やタクシー、ホテル代などがこれにあたります。

通信費

インターネットを使う副業であれば、それも経費になります。

また、スマートフォンの通信費やプロバイダー費なども一部経費として計上できます。

広告宣伝費

チラシや名刺など、副業を宣伝するための費用も経費になります。

経費にならないもの

プライベートで使用するものや健康診断は、経費に含まれません

特に注意が必要なのは、「スーツ」や「ジャケット」などの服飾品です。

100%副業だけに使うスーツだとしても、経費で落とすことはできません。

経費として曖昧な「家事按分」

普段の生活でも使用するもの全てが、経費で落とせないわけではありません。

マンションの1部屋を仕事場としている場合の家賃や水道光熱費、通信費、そしてプライベートでも使用する車のガソリン代などは経費として落とせます。

ただし、その全てを経費として落とすことはできません。

これらは「家事関連費」といい、副業で使用している割合をもとに経費を算出し、副業としての使用分を経費として計上することができます。

この算出を「家事按分」といいます。

副業を行う自宅の家賃を経費として算出したい場合は、その使用面積から経費を算出します。

例えば、家賃1ヶ月10万円の費用が発生する自宅マンションの1室を仕事場とします。その使用面積が全体の2割に相当している時の家事按分は、以下のように算出されます。

10万円(家賃)×20%(使用面積)=2万円(経費)

家賃10万円のうち2万円を経費として計上することができます。

経費計上に必要な書類

経費として落とすためには、領収書などの証拠書類を最低5年保管しておく必要があります。

所得税法の決まりにより、個人事業主は5〜7年その保有期間を定められているからです。

副業で使用した際の領収書は、いつでも取り出せるように保管し、いつ・どこで・誰と使用したのかがわかるようにレシートの裏やデータなどで記録しておくと便利です。

まとめ:副業とプライベートをしっかり分けて考えて管理する

経費の範囲を超えて申告をすると、追加で税金を払わなくてはいけません。

際限なくあれもこれもと経費にしていると、後々痛い目に会うこともあります。

経費を計上する時は、一度自分の副業内容を見直し、副業とプライベートの範囲をきっちり分けて計上するように心がけることが大事です。